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《道標無き道を選んだ貴方へ》
 
 自分は本当に此処にいるのだろうか。
 右を見ても左を見ても白いばかりの世界で。
 手を伸ばせども全てがすり抜けてしまう楽園で。
 光にしか生きられない臆病な私は、ただ突き進む事でしか証を示せない。
 なあ、教えてくれないか。
 何故貴方は道を見つけられた?
 何故貴方はその場所に辿り着けた?
 称号の名に押しつぶされそうな夜、それを乗り越えてこれたなら。
 ほんの少しでいい、鍵をくれないか。
 そこから先は、自力で立ち上がって見せるから。
 
−−勇者からウォーリア・オブ・ライトへの楽園。
 
 
 
《深い奈落から這い上がった貴様へ》
 
 最初は小さな願いだった。
 最初は小さな想いだった。
 それが何故墜落したかはもはや分からぬ事。
 ただ確かなのは、いつしかわしは出口の無い迷路にいた事。
 甘えだと笑うならそれでもいい。
 ただ同じ袋小路ならば、少しでも意味が欲しかっただけ。
 誰にも必要とされぬ闇よりも、必要とされる闇を選んだだけ。
 だがもし、別の意味でわしにも伸べる手があったなら。
 貴様のように、かつてと同じ光を浴びれただろうか。
 
−−猛者からガーランドへの希望。
 
 
 
《世界で一番貴いものを見つけた君に》
 
 叶えたい夢があった。
 理由も分からないまま輝いていた光が。
 赦せない人がいた。
 理由も分からないまま沈んでいた闇が。
 どちらも朧気ながら真実で。
 けれどそのどちらの答えも俺の中には無くて。
 その二つが両立しなくなった時、憎悪より夢をとれる自信はまだ無いけれど。
 君達を見て、思った事。
 いつか俺にも愛する人ができたら、この曇った空も晴れるかな。
 屍の上ではない場所に、野薔薇を植える事ができるといいな。
 
−−義士からフリオニールへの未来。
 
 
 
《本物の永遠に行き着いた貴様に》
 
 どれほど時が巻き戻ろうと、現実が還る事は無く。
 かつての記憶を脱ぎ捨てた事で、私は私に戻れただろうか。
 貴様に心配されずとも、一族の支配から逃れた私は理解している。
 民の盾にならぬ王に兵はついて来ない。
 心の支配できずして真の王にはなりえない。
 憎しみの眼に何度射抜かれようと、折れる暇などありはしない。
 それでも、私は到底貴様にはなれないのだろう。
 私はまだ、愛の名を知らない。
 
−−暴君からマティウスへの真実。
 
 
 
《何時か僕の母になるキミへ》
 
 何もかも護れると思っていた。
 それが子供の思い上がりだと知らずに。
 何一つ護れなかった。
 目の前で僕の世界は、音を立てて崩れて。
 大切なひとを護りたいと願った。
 彼が、彼女が、くれた愛を返す為に。
 護れなければ、無意味だった。
 ただ一人生きてしまった代価は、僕の全てでも足りなくて。
 ごめんね。
 まだ僕は、キミのコトバを思い出せない。
 でもキミが望んでくれるなら、彼が彼女が願ってくれるなら。
 もう少し、自分を好きになれるかな。
 ねぇ……母さん。
 
−−少年からルーネスへの明日。
 
 
 
《遥かな道程に在る君へ》
 
 僕は多分、僕が赦せない。
 何も知らなかった自分を、知らずに愛する人を憎んだ自分を。
 僕は多分、僕を赦したい。
 全てを知った自分だから、愛する人に償う事で。
 身勝手だと、自分でも分かってはいるんだ。
 けれどまだこの場所から動けないまま立ち尽くす。
 君がいくら風を吹かせてくれても、翼が折れてちゃ飛べないから。
 もう少し、もう少しだけ待っていて。
 側にいて欲しいと−−兄に心から言えるまで。
 
−−騎士からセシルへの勇気。
 
 
 
《隣に在る意味を知ったお前へ》
 
 天秤のようだと言われた。
 グラグラと揺れて、私達はバランスがとれないままで。
 水をあげすぎていた事にも気付かず、私は花を枯らしていたのか。
 だが私達は、シクラメンのように強くもないと知っていて。
 互いに水を与えあうばかりで、自分の方を枯らすしか無かったんだ。
 犯した罪を死で償えたらどれほど楽か。
 それでも生きるしか赦されないならどうすればいい。
 お前達が羨ましくて仕方ない。
 本物の兄弟になれた、お前達が。
 
−−魔人からゴルベーザへの世界。
 
 
 
《力の恐怖を乗り越えた貴女へ》
 
 私は私が嫌いだったの。
 あの人に護られて、あの子を傷つけてばかりの私が。
 いつか力が溢れ出して、全てを壊してしまったら。
 怖くて怖くて、空の広さも忘れていたね。
 貴女はきっと、もっと早くに気付いてたんだね。
 でもね、私にも少しだけ分かったの。
 あの子が同じ眼をした時、傷ついた事で分かれたの。
 私、自分を愛せるように頑張るね。
 大好きな大好きなあの子に、いつか心から誇れるように。
 
−−少女からティナへの懺悔。
 
 
 
《切符を手渡してくれたお前に》
 
 心は不自由でいけない。
 自分の心すら自由にならないのに、どうして他人の心が動かせる?
 弱虫だと分かっていても、知れば壊れる自分も分かっているから。
 過去を捨てたくて、願ってはならない願いをした。
 そんな俺はまだ、お前の切符を受け取るわけにはいかない。
 思い出に怯えているからこそ、夢を見れない俺だから。
 乗り越える時まで、預かっておいてくれないか。
 いつかもう一度、あの人の手を握れる日まで。
 
−−兵士からクラウドへの約束。
 
 
 
《いつかの夢を思い出したあなたに》
 
 わかっている。
 わかってはいないとあなたは言うかもしれないが、わかってるんだ。
 あの頃確かに、として生きていた。
 あの頃確かに、は彼らのだった。
 そうだとしても、彼がそれを憎む以上、私の存在は災厄でしかない。
 出逢わなかった事にできないなら。
 何度殺して貰っても終われないなら。
 どうかせめて彼に、このまやかしの楽園を。
 という存在を、せめて彼の中から消して欲しい。
 お願いだから、言わないで。
 に戻れる悲しい希望なんて、忘れさせて。
 
−−英雄からセフィロスへの贖罪。
 
 
 
《孤高の空を見上げたお前に》
 
 俺は仲間を不要だとは思わない。
 群を護れてこそ獅子だと知っている。
 しかし王の孤独を誰が理解できようか。
 護る為だからこそ王は孤高でなくてはならない。
 そうでなくば、王は王たる価値を失うだろう。
 残念ながら、もし俺が間違っているのだとしても、答えは未だ隠されたまま。
 魔女が何故悲しく笑うかも理解できぬまま。
 それでも今は、戦う事でしか証明できないから。
 高い場所から見ていてくれ。
 いつか必ず、辿り着いてみせるから。
 
−−獅子からスコールへの戯曲。
 
 
 
《命の舞台で踊るあんたに》
 
 流れて流れて淀んで溶けて。
 ごちゃごちゃになった記憶の中で踊っていたけど。
 全部拾おうとしすぎて、落としてしまった欠片達。
 何もかも背負おうとして、潰れてしまった自分達。
 みんなで幸せになる夢に、自分を弾いたつもりは無かったけれど。
 あんたの真似して、今度はちょっとずつ拾ってみるよ。
 一気に飛ばさないで、ちょっとずつ近寄ってみるよ。
 どんなに思い出が隠れても、真実は亡くしたりしないから。
 
−−盗賊からジタンへの手紙。
 
 
 
《運命に打ち勝った君に》
 
 満足だって?そんなわけない。
 二つの星を巡る神話でも、この鳥籠の世界でも。
 結局何も変わらない。
 僕はいつでも誰かの手の上で無様なダンスを披露していた。
 怯えよりも僕を支配したのは二つ。
 弟を憎む気持ちと、愛する気持ち。
 真実を知る勇気が、僕らはいつも遅すぎて。
 どちらも手を伸ばしてるのに、互いの顔が見えないまま。
 君は今、幸せなんだね。
 一番欲しかったものを手に入れたんだね。
 僕にも、なれるかなたった一瞬の煌めきでも、もういっかい。
 
−−死神からクジャへの奇跡。
 
 
 
《本物の太陽になったあんたに》
 
 人は何かの犠牲無しには、何も得る事はできないから。
 何かを捨てるしかなかったそれがどんなに大事なものでも。
 俺はまだ、あんたのようには吹っ切れない。
 あんたの日差しは眩しすぎるよ。
 本当は消えたくないって言いたい。
 本当は悲しませたくないって叫びたい。
 本当は殺したくないって泣きたい。
 本当は、本当は、本当は。
 人生のゴールが見えちゃった以上、足掻くしか無いから。
 それでももし、奇跡が起きたなら。
 俺も本物の太陽になりたいあんたのように。
 
−−夢想からティーダへの物語。
 
 
 
《ぶつかる事を恐れないお前に》
 
 残念ながら、俺らの関係は一筋縄じゃあいかない。
 真実を知らない事にすら気付かなかった俺は父親失格だ。
 何より、何でこんなに憎まれてるのか、分かろうともしなかった。
 これがただのガキの反抗なら、良かったのにな。
 時間を待つだけじゃ駄目なのさ。
 だけどあんたの言葉で決心がついたよ。
 世界で一番最低の罪を犯した俺は赦されちゃいけないが。
 だったらガキの憎しみくらい、受け止めてみせなきゃな。
 分かってもらいたきゃ、まずこっちが理解すること。
 やってやるさ……世界が終わる、その前に。
 
−−幻想からジェクトへの宣誓。
 
 
 
 
 

 

小さなウタ

小さなコトバ

 

仮令受け取れずとも眼を逸らせども、その声は確かに、届いていた。

BGM
『幸せの贈り物〜ギフト〜』
 by Hajime Sumeragi&Lemonlime

 

 

レモンライム様へ。『応援歌』の対になるようなお礼のSS集を書いてみました。

私が抽象的な詩を書くと破綻するのが眼に見えてたので、割とストレートなメッセージで行きました。

最期天使の異説メンバーから、レモンライム様宅への異説メンバーへの手紙のようなものです。

…書いてて思ったこと。「お前らもっと素直になれよ!」と(笑)

メッセージを貰って本当は全員嬉しかったのに、なかなか素直に受け取れないヤツが多くて。

特に不幸に酔ってらっしゃる方々がきっつい。書いててしのびなかったです。

でも今の現状を考えると、素直に「そうだね」と頷けないヤツもいるわけで。

受け取ったヤツも、「羨ましい」や「眩しい」で終わってしまってたり…むむむ。

でもメッセージを貰った事で、変わる事もある…というのを示したかったのです。

特にオニオンにとってあちらの『ルーネス』は後の母親に当たるので、思いいれもひとしおな筈。

こんなんで良ければ貰ってやって下さいませレモンライム様!(ゴミ箱用意!)