いう、いう、いう。
【誰かが】 負の連鎖を止めて・15 【必ず死ぬ】
564:魔女と呪いと名無しさん どうしても話せないことなら無理にとは言わないけど
565:魔女と呪いと名無しさん うん
566:魔女と呪いと名無しさん でもやっぱり気になるよな
567:紫 俺は事故を間近で見てたから知ってる 鉄柱はどう見てもヒーローちんの心臓と肺貫通してた あれで生きてられるわけがない
だけどヒーローちんは今では話せるレベルまで回復してる 昨日の事故直後にだよ? 呪い云々以前の問題でおかしい
568:騎士K そもそもヒーローさんを幻視した時に見えた銃の数 どう見ても普通の人間が背負える数ではありませんでした 加えてあれだけの数を背負ったにしてはヒーローさんは若すぎるんです 見た目は精々高校生か大学生でしょう?
569:天M よくよく思えば、菊さんもそうです 嘘の儀式の時から聞いてました 青さんがいると怪異は逃げていく 悪霊は近寄れないって
悪霊達が恐れているのは青さんじゃない 青さんに憑いてる菊さんですよね それだけの格ならつまり神様クラスだと思うんですけど でも菊さんは死んだわけじゃないんでしょう?
570:あお 紳士さんについても気になります テレポートってそう簡単に使える魔法じゃないですよね 紫さんみたいに空間に特化した特殊能力がある人でさえ、多人数の転移はでき ないし制約があるみたいじゃないですか しかもあの面倒な霊を一発で片付けるなんて
571:魔女と呪いと名無しさん おおう
572:魔女と呪いと名無しさん さすがはコテハン組
573:魔女と呪いと名無しさん 俺らの疑問を綺麗にまとめてくれたな
574:魔女と呪いと名無しさん 菊に紳士 どうなんだよ
575:菊
576:紳士 菊 もう隠しておけるレベルじゃなさそうだぞ
577:魔女と呪いと名無しさん 頼む、すっごい気になってんだ
578:魔女と呪いと名無しさん どうしても無理なとこまで話せとは言わない 全部じゃなくてもいいから教えてくれないか
579:菊 ………わかりました
ですがヒーローさんが先です ヒーローさんを確保したらお話します 全部は無理ですが
580:紳士 ヒーローの奴は病室をぬけだしてると思う 病院の周りを探してみるんだ!
581:魔女と呪いと名無しさん ヒーロー…!
582:魔女と呪いと名無しさん でもほんとに抜けだせるのか? 重傷も重傷だろ!?
583:紳士 それでもあいつはやるんだよ! 伊達に五百年あいつを見てきたわけじゃねぇんだ!
584:魔女と呪いと名無しさん
585:魔女と呪いと名無しさん
586:魔女と呪いと名無しさん
587:魔女と呪いと名無しさん
588:魔女と呪いと名無しさん お、おいいま
589:魔女と呪いと名無しさん さらっと爆弾落ちたぞ
590:魔女と呪いと名無しさん 五百年て…?
591:魔女と呪いと名無しさん い、いつもなら釣りコールなのに
592:あお いた!ヒーローさん!
593:魔女と呪いと名無しさん おいやばいぞ時間ねぇよ
594:魔女と呪いと名無しさん ヒーローどこにいたんだ?
595:魔女と呪いと名無しさん 連れ戻せ!
596:魔女と呪いと名無しさん ヒーロー早まるなああああああ!
597:あお だめ
598: こっちへおいで
599:魔女と呪いと名無しさん なんだ!?
600:魔女と呪いと名無しさん おいまたかよ またIDない書き込みとかお約束すぎんだろおおおお!?
601:魔女と呪いと名無しさん 例の金髪女なのか!?
602:魔女と呪いと名無しさん やばいやばいやばいやばいやばい
603:天M ヒーローさんが横断歩道に
604: こんどこそころしてあげる
605:ヒーロー 悪いけど 君に俺は殺せないよ よく見ていればいい
606:魔女と呪いと名無しさん な
607:魔女と呪いと名無しさん ヒーローの書き込み!?
608:魔女と呪いと名無しさん ID照合した 間違いないヒーローだ!
609:魔女と呪いと名無しさん ヒーローやめろ!
610:紳士 ふざけんなアメリカ! お前はまた お前はまた俺の前で死ぬのかよ!
611:魔女と呪いと名無しさん アメリカ?
612:魔女と呪いと名無しさん え
613:紫 ヒーローちんだめそれは
614: しね
615:魔女と呪いと名無しさん 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
616:魔女と呪いと名無しさん ふざけんなやめろ!
617:天M ヒーローさんが
とらっくにひかれた
・ ・ ・
***
ああ、またなのか。 紳士こと代償の魔術師ことアーサー・カークランドは、呆然と立ち尽くしそ の光景を見ていた。声の聞こえない距離だった。だから慌ててくろちゃんねる に書き込んだのだが、どうにもならなかったらしい。 ああ、分かっていたのだ。彼の性格は誰より自分がよく知っている。
「ばか」
横断歩道を、松葉杖で渡りながら。アルフレッドは最後に自分を見た。明ら かに気づいていた。そして口パクだけでこう言ったのが見えた。
『だ い じょ う ぶ』
何が大丈夫なものか。 バッと通ったトラックが、次の瞬間彼を引きずって泣き叫んだ。本来車には ねられただけならば血は出ない。だが、アルフレッドは元より重傷だ。ついで に尖った場所を体にひっかけたのだろう。 血飛沫の色が、彼の香りと混ざり合って蒸せ返る。ああ、デジャヴ。
『まだ、待つよ。これからも…君が、来るの……待ってる。信じて待って…… ね、イギリス…』
過去の記憶の中。何度自分は彼を失っただろう。
『眼…開けてくれよ……アメリカ!まだ朝が来ないってのかよ…ざけんなよ! 俺はまだ…まだ何も…何もっ!』
何度来ない朝を嘆いただろう。ああ、今度の終わりは確かに絶対じゃない。 だけど。でも。
「アルフレッドさん!」
止まったトラックの前、真っ先に天馬が飛び出していった。そしてトラック の前を見て、凍りついている。 アルフレッドの体はトラックの下に入り込んでいた。そして夥しい血の赤 だ。引きずられただけじゃない。タイヤにおされて引き潰されたのは明白で。 ああ、なんて見たくない。 デジャヴ。またデジャヴ。あの時のアルフレッドは腹と胸が完全になくなっ ていたけれど。
『こんどこそしぬ、しね、しね』
ギッと音が鳴るほどに。アーサーは強く振り向き、そちらを睨みつけた。陽 炎の中で金髪の女が笑っている。けたけた、けたけたと笑っている。 自分の国民ではない。まさかアルフレッドの国民か?ますます忌々しい。ア ルフレッドを誰だと思っている。何だと思っている。ふざけるな。
「死ぬわけがない」
忌々しい。消してやる影。 悪意をもってアーサーは赤い剣を抜いた。
「代償の魔術師・アーサー=カークランドの名において赤き真実を行使する。 【てめぇごときにアメリカが殺せるわけねぇだろぉが馬鹿が!】」
ぎゃあっ!と悲鳴が上がった。絶対の赤。あんな魔女のなりそこないに反撃 できたはずがない。赤き一閃に切り裂かれて、影が消滅してゆく。
『うそよ…うそだ…うそ…あああああ』
何に対しての“嘘”なのか。アーサーは冷めた眼でその末路を見守った。こ の影を引き裂いたところでそれは残滓にすぎない。本体は別のところにいる。 そいつを探し出さない限り意味などない。 絶対に殺してやる。それはこちらの台詞だ。許すものか。二度も愛しい弟を 手にかけてくれた魔女など。
「アルフレッドさん!アルフレッドさぁん!」 「葵ちん、天馬ちん、落ち着いて!」 「いやあああああ!」
取り乱す葵と天馬を紫原が必死で落ち着かせようとしている。こんな残酷な 光景、子供達のトラウマになるではないか。なにがヒーローだ偽善者。アーサ ーは唇を噛み締める。 そしてそのままスマホを取り出した。
***
・ ・ ・
641:魔女と呪いと名無しさん 最悪だ…
642:魔女と呪いと名無しさん また間に合わなかったのか
643:魔女と呪いと名無しさん 今度は交通事故…
644:紳士 病院は手配した また騒ぎになるんだろうな …いろんな意味で、明日までにはケリつけないとヤバい
絶対 絶対ゆるさねぇ
645:魔女と呪いと名無しさん 紳士…
646:魔女と呪いと名無しさん 生き返るって実は残酷だよな 何回だって死ぬってことだもんな
647:菊 そうですよ 例え命を落とさなくても痛いし苦しいんです それなのに人間と同じような終わりがけして来ない 普通に生きて死んでゆける人々には置いて行かれる それがどれほどの苦しみか、皆さんに想像できますか
648:魔女と呪いと名無しさん そう、だよな
649:魔女と呪いと名無しさん うん
650:魔女と呪いと名無しさん 不老不死とか 永遠の美だとか言うけど そういうの生半可な気持ちで憧れるべきじゃないんだよな
651:魔女と呪いと名無しさん そうだよな ほんとにそうだ
652:天M ごめん やっと少し落ち着いた 紫さんありがとうございます
653:紫 いいんだよ ところで紳士ちん、事故現場にいた影を赤き真実で切り裂いてたよね 退治できたの?
654:紳士 見てたのか紫 いや、退治できたわけじゃない あそこにいたのはただの残留思念みたいなもので本体じゃないんだ 呪いの本体はもっと別の場所にいる それを探し出さない限りどうにもならない
655:魔女と呪いと名無しさん ひさびさに見たな赤き真実
656:魔女と呪いと名無しさん そっか 紳士も魔術師だから使えるんだな
657:魔女と呪いと名無しさん なるなる
658:魔女と呪いと名無しさん ところで…こんな状況で悪いんだけどさ 当初の約束通り話してくれないか 菊や紳士やヒーローってなんなんだ?
659:あお そうだね 私も知りたい
660:魔女と呪いと名無しさん そうだったし
661:魔女と呪いと名無しさん 教えてくれよ菊、紳士
662:魔女と呪いと名無しさん どうしても気になるんだ、頼む
663:菊 そうですね そろそろ潮時ですよね わかりました、お話します ですがきっと皆さん信じられないと思いますけど
664:紫 いいよ 話して
665:魔女と呪いと名無しさん うんうん
666:菊 そうですか…では
皆さんは、八百万の神を信じますか?
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この終わらないループを、くだらないルールを破り捨てて。