た、た、た。
【誰かが】 負の連鎖を止めて・24 【必ず死ぬ】
・ ・ ・
567:魔女と呪いと名無しさん ついにご対面ってわけか
568:魔女と呪いと名無しさん ドキドキだな
569:魔女と呪いと名無しさん それまでにだいぶ邪魔が入ってるっぽいけどな
570:実 騎士Kちゃん達よりこっちが先にご対面だわ 本体ではないけど分身が大量にお出迎えよ
571:魔女と呪いと名無しさん き
572:魔女と呪いと名無しさん きたしいいいい!
573:実 せっかくだから写真うpしてあ・げ・る☆ ほ〜ら
つ 【血だらけの金髪女が何人も宙に浮いてる写真】
574:魔女と呪いと名無しさん
575:魔女と呪いと名無しさん
576:魔女と呪いと名無しさん
577:魔女と呪いと名無しさん
578:魔女と呪いと名無しさん ぎ
579:魔女と呪いと名無しさん ぎゃあああああああああああああ!
580:魔女と呪いと名無しさん 不意打ちとかやめてええええ!
581:魔女と呪いと名無しさん テラシュールwww
って笑えねえええええ!
582:魔女と呪いと名無しさん 金髪美女は大歓迎です普段ならば!
583:魔女と呪いと名無しさん 駄菓子菓子 血だらけのオプションはいらなかった…!
584:魔女と呪いと名無しさん 怖ぇよおお…!
585:実 多分、あっちもこちらの目的がわかってる 終わらせに来てると知ってるんでしょうね だから全力で妨害するんだわ
だけど甘く見ないで頂戴 こちとら本職なのよ!
586:魔女と呪いと名無しさん 実姐さんがマジ男前
587:魔女と呪いと名無しさん な、なんか怖くなくなってきた
588:魔女と呪いと名無しさん うう、T駅まで応援に行きたい…けど我慢してここで応援する!
589:魔女と呪いと名無しさん 俺らが行っても足手まといになるだけなの目に見えてるもんな…
590:魔女と呪いと名無しさん がんばれ実…みんな!
591:実 天Mちゃんが化身を召喚したわ さすが化身シュートの威力は凄いわね 攻撃力ならこっちのメンバーでも随一かもしれない
でも天Mちゃんは視るのが得意じゃないから、金髪の彼女が全部見えてるわけ じゃないわ サポートなら任せて
592:魔女と呪いと名無しさん 盛り上がってきたな!
593:魔女と呪いと名無しさん この分だと駅外組は大丈夫そうか…?
594:魔女と呪いと名無しさん 駅の中の方はどうなってるんだ?なんか書き込みが消えてて不安なんだが…
595:紳士 やばい
596:魔女と呪いと名無しさん え?
597:魔女と呪いと名無しさん どうした?
598:紳士 電車が来る おかしい、この路線はあっちから来るはずじゃな
599:魔女と呪いと名無しさん 紳士!?
600:魔女と呪いと名無しさん 途中送信!?
601:魔女と呪いと名無しさん つか書き込みの担当は騎士Kだよな!? なんで紳士が書き込んだんだ!?
602:魔女と呪いと名無しさん 騎士Kに何かあったのか?
603:魔女と呪いと名無しさん 紳士!紫!騎士Kえええ!
604:魔女と呪いと名無しさん 返事をしてくれ!
605:天M こっちもこっちで大変なことになってきた
606:菊 実さんが
607:魔女と呪いと名無しさん 天M!?菊!?
608:魔女と呪いと名無しさん こっちもかよおおおお!
609:魔女と呪いと名無しさん 実に何があったんだ!?
610:魔女と呪いと名無しさん 姐さあああん!
611:魔女と呪いと名無しさん どうしようどこもかしこも大ピンチじゃねぇか!
612:魔女と呪いと名無しさん おいお前らテレビ見てみろ!大変なことになってるぞ!
613:魔女と呪いと名無しさん どうし
614:魔女と呪いと名無しさん ま
615:魔女と呪いと名無しさん うそだろ!?
616:魔女と呪いと名無しさん おいどうしたんだよ!? 出先でテレビとか見れないんだ誰か教えてくれ!
617:魔女と呪いと名無しさん >>616 T駅に止まるはずの電車が軒並みT駅に辿り着けなくなってるんだよ! K線もT線もC線も全部だ! 正確にはT駅に着くはずが何故か素通りして隣の駅まで行っちゃうんだって…
618:魔女と呪いと名無しさん なにそれ!?
619:魔女と呪いと名無しさん な、何が起こってるんだ…!?
***
建物と建物の間から何かが飛び出してきた。細長くて、あらぬ方向にぐにゃ ぐにゃと折れ曲がるそれ。血だらけで原型を留めてなどいないが、人間の指だ としか思えない物体。 ああ実に気持ち悪い。でも、一番気持ち悪いのは。
『ああ、きれい。きれいきれいきれい』
ぐしゅり。 ぐちゃり。
『きれいきれいきれいねたましいきれい』
ぐしょり。 くちゃり。
『れお』
ああ、なんてことだろうか。実渕は眼を閉じて溜息を吐いた。来ているのが わかっていたのに避けられなかっただなんて。自分もヤキが回ったものだ。 この駅で死んだと思しき、ぐちゃぐちゃの肉塊と化した数多の亡霊達。這い ずり、痛い痛いと嘆く彼らを醜いとは思わなかった。自分は綺麗なものが好き だけれど、醜いと言った時の意味は多分――一般的なそれとは異なるのだろ う。 そんな彼らを天馬や霧野、青峰に指示を与えて祓いながら。それよりずっと 実渕が嫌悪を抱いたのは――肉塊の間から現れたヒトガタのそれだ。 その人物は、肉塊達と比べれば遙かに人らしい姿をしていた。しかしその姿 を見た途端実渕は動けなくなった――偽物だと、幻だと分かっていながら。
「綺麗って貴方は言った」
実渕は呟く。
「私は母の生き写しだから。貴方が一番愛して憎んだ人と同じ顔をしているか ら」
その男は、実渕の義父だった。実父が不慮の事故で死に、心を病んだ実渕の 母。義父はその心につけ込んだ最低の男だった。そして母を愛しながら憎んで もいた。あの男は綺麗なものが大嫌いだったのだ。 心を病んでいた母は男にいくら暴力を振るわれても微笑っていた。しかし実 渕は違う。男の浅ましい行いと暴力は、幼い実渕の心に深い傷を残したのだ。 思い出したくもない。実渕はあの義父のせいで、男として生まれたはずの自 分を嫌悪するようになったのだから。男という生き物は醜いものだ。力を振る って弱いものをいたぶるだけの能無しなのだ。実渕の趣向は、半ば外的要因に よってねじ曲げられたのである。 勘違いされやすいが。実渕は別に性同一障害だとか、そういうものではな い。女になりたいわけではないし、好きになる相手も女性の方が多い。ただ、 男でいるのが嫌なだけなのだ。女でいた方が気楽だった。それは半ば心の安寧 を求めたゆえの行為だったのである。 髪を伸ばせばますます実渕は母親そっくりになった。そんな実渕に対します ます男は憎しみと歪んだ愛を向けた。だから実渕は、中学生の時に――。
「貴方は幻。分かってるわ。貴方が私を憎んで出るなら今じゃない。この場所 でもない」
ニタニタと嗤う男が、実渕の頬を撫でる。嫌悪感に吐きそうになるのを、体 が反射的に震えるのを、ギリギリのところで押し留めた。 分かっているのだ。魔法は記憶。魔法は言葉。呪いは傷跡。呪いは痛み。 “彼女”はほんの少し実渕の心の柔らかい部分に指を突き刺して、ぐちゃぐち ゃと掻き回してきたにすぎないのだ。 それで自分がこの男を視てしまったのは単純に。自分がまだトラウマを払拭 できていないから、それだけのことである。
「貴方はこんな生易しい方法で私を愛したりしない。もっと残酷に引き裂いて 遊ぶはずだわ。貴方が私と母にいつもそうしていたように」
男の指が喉に絡んだ。闇の中、みんなの声がする。そっちに行ってはいけな い。呑まれてはいけない。そこは自分の場所ではない。 分かっている。大丈夫。苦しいけれど、とても痛いけれど。
「う、ぐ……出て、行きなさい。私の中から出て行きなさい…ッ!」
男のもう片方の手が、実渕の腹に埋まった。柔らかい肉を裂くように、内臓 を掻き回される。血がだらだらと噴き出す。これも幻。かつて死にかけた時の 幻だ。
「私の痛みは…こんな安いものじゃない!」
叫んだ瞬間、景色が弾け飛んだ。腕が腹から引き抜かれる不快感、喉を折ら れるかのような痛み。それから吐き気。しかし、実渕は倒れなかった。ふらつ きながらもそこに立っていた。
「実渕さん!無事ですか!?」
パタパタと天馬が駆けて来る。その隣には青峰の姿もあった。実渕は無理矢 理笑顔を作る。
「ええ。……ええ大丈夫よ」
仲間とはいえ、知られたくなかった。あの幻は自分にしか見えなかっただろ うけれど。あの傷跡は、悟られることさえ耐えられなかった。 “男”も悪くない。中学の時出会った友人。高校になって出会った仲間た ち。お陰でやっと知ることが出来たこと。彼らが大切だからこそ、こんなに醜 い自分を知られるのは絶対に嫌だった。 汚れているのは体だけじゃない。心も魂も汚くてならない。泣きたくなるほ ど、それは変わらない現実だったから。
「気をつけた方がいいわ。…菊さんが憑いてる青峰君はまだ大丈夫かもしれな いけど。この魔女は幻を見せて、私達を惑わしてくるみたいだから」 「それは駅の中も…ですか?」 「多分ね」 「………」
天馬の表情が曇る。きっと駅に突入した剣城達を心配しているのだろう。特 に剣城は――彼も彼でかなり残酷な過去があると聞いている。
「紫原も危ないだろうな。あいつの精神力ならある程度は耐えるだろうが…」
青峰も苦い顔になる。
「俺も詳しく知ってる訳じゃねぇけど。あいつ…昔だいぶ酷い目に遭ったみた いだからな。あの赤司が後悔し続けてるくらいには」 『後悔…ですか』
ふわり、と。やや透けた体で菊が青峰の隣に降り立った。
『…アーサーさんもですよ。国ですからそれだけたくさん酷いものを視てます し…八年前の事件はトラウマの塊でしょうから。なんとかかわしてくれるとい いのですが…』 「私達にできるのは…信じることだけでしょうね」
彼らを心配している余裕はない。実渕は数珠を構えた。肉塊が再びマンホー ルの蓋を押し上げて蠢き始める。
「信じて……彼らの為を道を作る!今はそれだけよ!」
自分達は自分達に出来ることをするしかないのだ。たとえどれだけ歯痒い思 いをしたのだとしても。
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ちっぽけな僕は繰り返す、過ちばかり