のろ、のろ、のろふ。
 
 
 
 
【誰かが】
負の連鎖を止めて・5
【必ず死ぬ】
 
 
 
 
 天馬が手紙を受け取り、剣城へ倉間へと渡り。倉間のタイムリミットが残り
一時間と迫ったその日。雷門中サッカー部にやってきたのは、金髪青眼に眼鏡
をかけた青年だった。やや童顔だが、十二分に美形と呼んで差し支えないだろ
う。
 ただし。倉間を見るなりの第一声がまた失礼なもので。
 
DDDD!君の髪型、日本のアニメで見たことあるんだぞ!鬼太郎ヘアってやつ
だろ!?前見づらくないのかい?」
「……喧嘩売ってんですか、アンタ」
 
 倉間はひきつり笑いを浮かべて、言った。辛うじて敬語は出た、が。倉間の
彼に対する第一印象は、とにかく最悪なものだった。
 背は180cmはいかないから、白人としてはそんなに高くもないのかもしれな
い。政府関係者と言ったが何をしている人なのだろう。無駄な筋肉がないので
極端なマッチョという印象はないが、その体は鍛えあげられている。足音も訓
練された静かなものだ。
 というのも無意識に音を殺した歩き方をする奴が、チームにもう一人いるの
である。剣城だ。彼がいたシードという集団は、サッカーを支配する為のチー
ムであると同時に軍事訓練をも受けていた。歩き方はその時の名残なのだとい
う。
 その剣城と同じように静かに歩を進める彼−−もしや軍関係者か。しかも会
議を踊らせて前線には出ないお偉い方ではなく−−最前線に立つ、兵士。なら
ばこの威圧感も頷ける。
 
「………」
 
 しかし、それらの情報はますます倉間を不愉快にさせただけだった。個人的
に、倉間はあまりアメリカ人、特にアメリカ兵に良い印象がない。彼らが日本
で事件を起こしたというニュースはよく聴くし、なんだか日本が未だアメリカ
の植民地であるかのようで気にくわないのだ。
 偏見があるのは認めよう。全てのアメリカ人がそうだとも思わない。しか
し、どうにも警戒してしまうのは致し方ないことだった。
 正義という言葉を連呼し、自らがトップと信じて疑わない傲慢な奴ら。倉間
の中にはとことん暗いイメージしか湧かない。
 
「あ……えっと」
 
 倉間の不機嫌を悟ってか、慌てて飛んできたのが天馬だ。
 
「ありがとうございます、わざわざ来て貰っちゃって。俺、天Mってコテハン
つけてる松風天馬です。お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
 
 天馬もだいぶキャプテン代理が板についてきたようだ。たどたどしいがちゃ
んと目上に対する話し方が出来ている。倉間とて出来ないことではないが――
どうにも自分は感情が先に立ってしまっていけない。
 彼はあくまで自分達を助ける為に来てくれたというのに。倉間は軽く自己嫌
悪に陥った。
 
「ヒーローことアルフレッド=F=ジョーンズだ。アルフレッドって呼んでく
れて構わないんだぞ!」
「あ、はい、と……」
 
 天馬は不思議そうな顔でアルフレッドを見上げる。どうしたのだろう。
 
「あの…貴方って……聖職者とかそういうのじゃ、ないですよね?」
 
 そういえば天馬にも少しだけ、この世ならぬ者を見たり聴いたりする力があ
ると聞いている。強すぎる力でないため、手紙から漏れた悪い気にアテられず
に済んでいるとのことだが。
 アルフレッドかやや眼を丸くして、次に破顔した。
 
「ふぅん、ちょっとは見えるって聴いてたけど、本当なんだ?俺には何が見え
るんだい?」
「何っていうか……何かの加護があるのかなってくらい強い光を感じるんで
す。青峰さん…正確には青峰さんの守護霊の菊さんみたいに。俺には具体的な
ものは何も見えないんですけど」
「なるほどね」
 
 どうやら天馬にはほんの少し、倉間には分からない何かが見えているらしか
った。ちなみに倉間は昔からの零感である。幽霊なんて見たこともないし、オ
カルト絡みも信じては来なかった。
 目の前にいるこの後輩が、怪異に巻き込まれて騒ぎになるまでは。
 
「……右手に銃、左手に剣。背中に星条旗。銃にぶら下がっているのは、小さ
な兵隊のマスコットだ」
 
 ベンチでぐったりしていた剣城が、荒い息の下でそう言う。その途端、アル
フレッドが一瞬表情を消した。
 余裕綽々に見えた彼の殻が少し剥がれた、その瞬間。
 
「銃と剣は、目の前の敵をひたすら切り裂いて未踏へ進む挑戦心と覚悟の象
徴。星条旗は貴方が自らの国に誇りを持っていることの顕れでしょう。銃にぶ
ら下がったマスコットは貴方の思い出……イギリスの国旗をぶらさげているこ
とからするに、どなたか大事な人や家族がイギリスにいらっしゃるんでしょう
か。貴方は過去を捨て切れないながらもひたすら先を読み目指す存在…言うな
れば“先見の英雄”です」
「……それで?」
「俺が現視できたのはそこまでです。解せないのは両手の銃と剣の数が多すぎ
ること。普通の個人が抱えきれる数じゃない」
 
 剣城は目を細めて、言った。
 
「貴方、何者なんですか?魔術師や魔女じゃない。貴方からは魔法は残り香程
度しか感じ取れないのに」
 
 明らかに剣城が警戒している。倉間は何一つ話が分からなかったが、ただこ
の青年が普通の人間ではなさそうだということは理解した。
 こうなると気になってくるのは、彼が何故見ず知らずの他人である自分達を
助けようとするか、なのだが。
 
「惜しいな。そこまで見えてるのに……まあさすがに答えに辿り着くのは無理
か。突拍子なさすぎる」
 
 アルフレッドはクスクスと笑いながら、そう言った。
 
「俺はヒーローなんだぞ。菊の友達は俺の友達だ。今の時代の子供達をさ、訳
の分からない悪意や呪いで苦しませるなんて最低だ。成敗してやらなきゃ気が
すまないんだぞ!」
 
 
 
 ***
 
 
 
 
331:天M
とまあ今日はこんな感じでヒーローさんと顔あわせしたんだけど
 
332:魔女と呪いと名無しさん
…なんかヒーローのキャラが読めてきたぞ
 
333:魔女と呪いと名無しさん
奇遇だな、俺もだ
333げと
 
334:魔女と呪いと名無しさん
絶対KYだろヒーローwww
いきなり初対面で鬼太郎ヘアとかwww
 
335:
>>334
残念、惜しいです
ヒーローさんはKYではなくAKYです
 
あえて
 
空気は
 
読みません
 
336:魔女と呪いと名無しさん
おいwwwwwwwww
 
337:魔女と呪いと名無しさん
もっと質悪いわwwwwww
 
338:魔女と呪いと名無しさん
というか俺は倉先輩の鬼太郎ヘアについてkwskして欲しいわ
 
339:魔女と呪いと名無しさん
>>338
どんな風にだよwwwwww
 
340:天M
倉先輩はね〜ツンデレで〜灰色の鬼太郎ヘアで〜俺より背がちっちゃくて可愛
いんだよ!
 
341:魔女と呪いと名無しさん
チビで可愛いのか!
hshsprpr
 
342:
>>341
死ね
化身シュートの流れ弾食らって死ね
 
>>天M
誰が豆粒ドチビだコラアアアア!
 
343:魔女と呪いと名無しさん
wwwwww
 
344:魔女と呪いと名無しさん
wwwwwwwww
 
343:天M
うわああああ倉先輩なんでここにいいい!ごめんなさいいいいい!
 
344:魔女と呪いと名無しさん
天Mwwwwww
 
345:魔女と呪いと名無しさん
tk豆粒ドチビってあれwww鋼かwww
 
346:魔女と呪いと名無しさん
ってか341は何故謝りに来ないんだ?
まさかもう殺られたか?
 
347:魔女と呪いと名無しさん
もしくは逃げ出したか…
 
348:
逃げられるとでも?
 
349:魔女と呪いと名無しさん
 
350:魔女と呪いと名無しさん
 
351:魔女と呪いと名無しさん
 
352:魔女と呪いと名無しさん
 
353:
あああああのっ!
そろそろ本題に戻りませんかこっちも報告するし天M君は手紙渡してきた先輩
に当たるつもりなんでしょ!?
 
354:魔女と呪いと名無しさん
!?
 
355:魔女と呪いと名無しさん
あれいつの間に!?
 
356:
話の流れ見て言うことあれば書き込みしようかなあと…思ってROMってたら!
もう全然話進まないじゃないですかもう356なのに!
 
357:魔女と呪いと名無しさん
おぅふ…
 
358:魔女と呪いと名無しさん
桜タソが…壊れてきてる…
 
359:魔女と呪いと名無しさん
でも言ってることは尤もじゃないか
深刻な割に話進んでねぇだろ…;;
 
360:魔女と呪いと名無しさん
違い…ねぇ
 
361:
失礼しました
では流れを一度整理しましょうか
 
362:華麗なるまとめ班
よっしゃ俺の出番だな!
 
一日目
・天Mが上級正に手紙を貰う
二日目
・部室にて手紙のヤバさを騎士Kと指揮者に指摘される天M
・あお、とりあえず天Mから騎士Kに手紙を渡させてくろちゃんねるにスレ立
・紫がスレに気付いて書き込み
三日目
・騎士K、手紙を倉へ渡す
・とりあえず手紙を部員内で回して様子を見ることに
・R中サッカー部を青(菊)と桜と実が訪問
・青(菊)と顔を合わせるのがまずいヒーローはこの日は来なかった
四日目
・ヒーローが部室にやってきて初顔合わせ
・倉、手紙をヒーローへ渡す
・これから天Mが最初に手紙を渡してきた先輩に話を聴きに行く←イマココ
 
長いから一端切るぞ
 
364:華麗なるまとめ班
わかったこと
・手紙は一日以内に次の人に渡さないと、持っていた人間が死ぬ
・持ち主が知る限りでは、渡されたことのない人にしか渡せない
・どうやら悪霊ではなく生きた人間の術師がいる模様
・呪術ではなく魔術の為、解く方法が必ずあるはずと赤様の言
・ただし原初の魔法(?)である為術師がというより術が非常に優秀
・菊の友人が作った術かもしれない
・手紙が回るごとに力が増すため、これ以上回らさず死人を出さない為に今ヒ
ーローの手元にある
 
365:魔女と呪いと名無しさん
乙!
 
365:魔女と呪いと名無しさん
おーつ!
 
366:魔女と呪いと名無しさん
しかしヒーローは一体どうやって手紙をとどめておくつもりなんだ?
魔法かなんか使えるのか?
 
367:
いいえ
ヒーローさんは魔法は使いませんよ
ただ、手紙を持っていて自分が死なない、それだけです
 
378:魔女と呪いと名無しさん
???
 
379:魔女と呪いと名無しさん
昨日もそんなこと言ってたけど、よく分からん
 
380:
正直、無茶苦茶なことをやろうとしてらっしゃるので
本当は私が代わりになるか、お止めするかしたかったんですが
今私には体がありませんし他の方法も見当たらないのでやむを得ません
後でお説教です
 
381:魔女と呪いと名無しさん
い、一体何をやろうとしてるんだ?
 
382:魔女と呪いと名無しさん
ごくり(`o・´;)
 
383:
明日あの人また来るって行ってたぞ
なんか俺達にサッカー教わりたいんだって
その時分かるんじゃないか?
 
384:魔女と呪いと名無しさん
そういやアメリカってあんまサッカー流行ってないんだっけか
 
385:魔女と呪いと名無しさん
あっちでフットボールっていったらアメフトだもんな
イギリスだとサッカーだけど
 
386:天M
じゃあ俺、時間なんで今から先輩に話聞いてきますね
 
 
 
NEXT
 

 

この目に映るものが、真実ならば。