全員が納得するそんな、答えなんかあるものか。
 
 
 
 
 
【終わった】
今一度、君達に問う
【物語だけど】
 
 
 
 ・
 
174:通りすがりのモブ一号
間違ってたって…
 
175:通りすがりのモブ一号
分かるけどわからん
 
176:通りすがりのモブ一号
天M達は、黒のバスケ部の部室を荒らした奴等に制裁しただけだろ?
それの何が間違ってるんだよ
 
177:天M
…制裁って言葉はもう嫌だよ、偽善的すぎる
俺達ね、荒らした男達が特定出来るや否や、言い分聞かないで問答無用で叩き
のめしちゃったんだ
 
実際聞いてみたらほんと小物だったよ、良い意味でも悪い意味でも
茶さんが好きで、好かれたいから部室荒らして
でも本当にこんなことやっていいのかってのは自分達でも思ってたみたいで
 
そんな人達がさ、骨折られて病院送りにされるほど悪い人達だったと思う?
 
178:通りすがりのモブ一号
それは…うう
 
179:通りすがりのモブ一号
結果論じゃん
もし天M達が叩きのめさなかったら、また荒らしたかもしれないだろ
 
180:通りすがりのモブ一号
茶の命令があったらまたやったかもしれないもんな…
 
181:通りすがりのモブ一号
だよな
 
182:天M
そうかもしれない
でも、そうじゃないかもしれない
ただ確かなのは俺達はどんな理由であれ暴力を奮って、それを顧問O先生に隠
蔽させたこと
 
しかも、仲間の一人がね、このことを例の茶さんを制裁するスレに投下しちゃ
ったんだよ
結果俺達英雄扱い
茶さんへの嫌がらせは悪化
 
これでも俺達がやったことが間違ってないって言えるの?
 
183:通りすがりのモブ一号
 
184:通りすがりのモブ一号
 
185:通りすがりのモブ一号
 
186:通りすがりのモブ一号
 
187:
皆さんに今一度問います
今このスレを見ている貴方に、貴方達に
 
イジメにイジメで仕返しすることが本当に正義なのですか?
 
188:通りすがりのモブ一号
黒様…
 
189:通りすがりのモブ一号
ごめん、も
なんていうか
 
190:通りすがりのモブ一号
俺なんも言えない
安価参加してた時は何も考えてなかった
仕返しするのは、自分達がやってるのはイジメなんかじゃないって思ってた
自業自得だろって
 
191:通りすがりのモブ一号
俺も…
 
192:通りすがりのモブ一号
俺もだ
 
193:通りすがりのモブ一号
うん
 
194:通りすがりのモブ一号
俺まだ納得できないよ
やっぱり悪いのは茶だ
茶がイジメなんかやらなかったらこんなことにはならなかっただろ
 
195:天M
無理に納得しろなんて言わないよ
正義なんて人それぞれだし、誰かに押し付けられるもんでもないから
 
そもそも正義なんてもの存在しないって俺は思うし
 
196:通りすがりのモブ一号
天M…お前中一なのにしっかりしすぎだろ…
 
197:通りすがりのモブ一号
というか茶は結局謝ったのか?
E監督の説得は成功したのか?
 
198:
おっとそうでした
E監督の話の続きを投下しますね
 
199:通りすがりのモブ一号
頼む!
 
200:通りすがりのモブ一号
200げと!
俺も気になってた、あの状況からどうやって茶を説き伏せたのか
 
 
 
***
 
 
 
 復讐するなら、同じことをされる覚悟が必要だ。そこに善悪など関係がない。
復讐する側がたとえ常識的な“善”であっても関係ない。
 円堂がそう言った時初めて、迷いの無かった少女の目が揺らいだ。
 
「それと。この理屈が当てはまるのは彼女だけに限らない。…彼女に安価を利
用して仕返したクラスメート達、彼女の男友達を病院送りにしてしまったうち
の天馬達にも同じことが言えるよな」
 
 円堂はそう言って、体育館の中で成り行きを見守っていたメンバーをぐるり
と見回した。
 
 
 
「そもそもだ。この際ハッキリ言うぞ。…自分がされて嫌なことは人にするな。
…幼稚園児が教わる理屈だろ、違うのか?」
 
 
 
 こればかりは奇麗事だ、間違いなくそうだろうとも。この“幼稚園児でも分
かる理屈”が分からないから、イジメはなくならない。もっと言えば、皆がち
ゃんとこれを考えて動いていれば、世界の戦争紛争の半分はなくなる筈だろう。
 子供が教わる理屈を、大人が無視する矛盾。それは“いちいち相手の気持ち
を考える余裕などない”という現実であったり、“そんな事を考えていたら自
分の願いが叶わない”という事実であったりする。
 だから、これは奇麗事。
 そんな簡単にはいかない、誰もが分かっている奇麗事。
 それでも円堂はあえて今、それを少女に、今この話を聞いている者達皆に言
う。
 
「…多分この話を後で聞いて…聞いてる途中で嫌になる人がいると思う。嫌に
なったり怖くなるのは、想像出来るからだ。自分が被害者の立場になったらど
うしようと思えるからだ。…怖くなったり吐き気がした人はそれを誇っていい。
誰かの痛みが分かる恐怖と優しさを、誇っていい」
「……私は」
 
 口を開いたのは、リコ。彼女の眼も、涙で潤んでいた。
 
「私も…辛かった。理不尽だと思った。でも…標的が彼女に移った時…それに
気付いてもすぐ動けなかった。クラスのみんなと同じ。自業自得だから、これ
は仕返しだからいいんだって…そう思った自分も確かにいたんです。同じ痛み
を、私が一番よく分かってたはずだったのに…!」
「それを認められたなら、お前はもう弱くなんかないさ。大抵の奴は自分が弱
いとか汚いとか、まずそこを否定して眼を背けるからな。…誰に言われずとも、
間違ってるって最初に気づけたリコは偉いぞ」
「円堂さん…」
 
 わしゃわしゃとリコの頭を撫でる。いつも気丈にバスケ部の少年達を率いる
彼女もまた、普通の女子高生なのだ。しかしそれは良い意味で、である。
 間違えていい。時には逃げても泣いてもいい。君達はまだ、子供でいい。
 何も、恥じる必要はないのだ。普通の子供だからこそ、完璧ではないからこ
そ見える世界がある。完璧ではない誰かの弱さや痛みを知ることが出来る。
 そういう人間こそ、リーダーや指導者に相応しいと円堂は思うのだ。
 
「…それで、お前はどうだ?痛みを痛みで返して、また痛みの倍返しを食って。
…お前は満足のいく結果が出たのか?」
 
 再び円堂は少女に問う。少女は悔しげに唇を噛み締め、俯いた。言葉で示さ
れはしなかったが、それは半ば答えを言ったようなものだ。
 満足など、出来た筈がない。彼女の“制裁”は中途半端に終わったあげく、
彼女にとって理不尽な“イジメ”が現在進行形で続いているのだから。
 
「…お前は覚悟が足らなかった。正しいか正しくないかは関係ない。ただ、足
らなかった」
「………」
「痛みになって返らない見返し方もあったのに、お前はわざわざ人を傷つける
やり方を選んで、挙げ句自らだけが被害者だと主張する。…まあ、今後生きて
いく世界で通用できる理屈じゃあないよな?」
「…………」
「傷つきたくないなら傷つけないやり方を探せ。復讐のやり方だって一つじゃ
あない。…誰かの傷が分かるから、お前はリコを憎んだんだろう?なら、誰か
の言葉に流されて思い込むな。自分の心で決めて判断しろ。そうしたら、何が
あってもお前を信じてくれる人は必ず現れる」
「…何なのよ」
 そこで漸く、彼女は口を開いた。
 
「あんた、何なのよ。いきなり現れて首突っ込んできて、何様なの。わかった
ような口きいてきて説教してきて…正直、腹立つ」
 
 言葉の内容は刺々しかったが。口調は言葉ほど苛立ったものでは無かった。
それは円堂が彼女に“魔法”をかけた結果だろう。しかしそれは円堂が“浄罪
の魔術師”として、何か特別な力を行使した訳ではない。
 人は誰しも望めば魔法使いになれる。魔法の杖も、特別な称号も何も要らな
い。
 円堂はただ、人間達が当たり前に扱う力を使ったに過ぎないのだ。そう――
言葉という名の、魔法を。
 
「俺はただの…お前ら子供が大好きな」
 
 円堂はニカッと笑って、少女の頭を撫でた。
 
「通りすがりのサッカーバカだよ」
 
 少女は円堂の手を払う事も出来た筈だ。というかいきなり体育館にやってき
た見知らぬ男を不審者扱いすることも出来た筈なのだが。
 それをしないのも多分、“魔法”が効いているおかげなのだと思う。
 
「サッカーバカて…バスケじゃないの?」
「うーんバスケも興味あるけどやっぱサッカーだなぁ。面白いぞ、お前もやる
か?女の子でもサッカーやってる奴たくさん知ってるぞ」
「わけ…わかんないし」
「分かんなくていいさ、それより」
 
 答えはシンプルだ。
 
「後味が悪くなくて、余計な痛みのない…そーゆー楽しいことやった方が建設
的だろ。お前のことちょっと調べたけどな。…努力家で真面目な子だって誉め
てる奴はたくさんいたぞ?」
「……!」
 
 くしゃり、と少女の顔が歪んだ。その時、場に張り詰めていた何かが砕ける
音がした。
 彼女が自分を間違っていると思えないなら、今はそれでも仕方ない。けれど
きっと、彼女達も気付く。
 人を幸せに出来るのは、白き魔法だけだということに。
 
 
 
***
 
 
 
 
 
269:通りすがりのモブ一号
 
270:通りすがりのモブ一号
E監督…!
 
271:通りすがりのモブ一号
現在液晶の前で涙ボロボロなう…うう(´;ω;`)
 
272:通りすがりのモブ一号
そうだよな
ただ安価で仕返しして、イジメをイジメで返したって
それじゃ根本的な解決になんかならないんだよな
 
273:通りすがりのモブ一号
うん…俺、やっと理解できたかも
 
274:通りすがりのモブ一号
その後、茶やJK監督はどうなったんだ?
 
275:
僕らにとっては意外な展開でしたよ
茶さんがJK監督にライバル宣言したんです
絶対彼を振り向かせてやる、お前なんかには負けないって正々堂々と
 
276:通りすがりのモブ一号
 
277:通りすがりのモブ一号
ふえ!?
 
278:
で、JK監督も受けて立ってやる!って胸張って
JK監督がみんなを振り向いて言いました
 
「彼女との決着は私がサシでつけるから、手を出した奴は練習五倍よ!」
 
って
 
279:天M
それでJK監督はそのまま彼女と体育館を出て、クラスまで言って
 
クラスメートのみんなにも同じ宣言したんですよね?
 
280:
そう
制裁安価スレにもJK監督が降臨して収集つけてました
さすがは僕らの監督です
 
最終的にどうなったかと言えば
今茶さんは、JK監督と仲の良い友達になってますよ
正式なマネージャーではないですが時々バスケ部の手伝いにも来てくれて、僕
らも世話になってます
どうやら、僕達の知らないところで謝罪も解決もしていたみたいで
 
281:通りすがりのモブ一号
 
282:通りすがりのモブ一号
すげえ…!まさかの結末か!?
 
283:通りすがりのモブ一号
JK監督まじカッコイい!
 
284:通りすがりのモブ一号
本当にハッピーエンドになっただと…!?
 
285:通りすがりのモブ一号
そうかだから
黒達、茶にさん付けしてたのか
 
286:
少し綺麗にまとまりすぎた気もしますけどね
最後にみんなが笑ってられるなら、それ以上のことはないんだって今ならそう
思います
今ではイジメも、よくわからない安価が実行されることもなくなりました
全部が終わったからこそ、僕らもこのスレを立てて皆さんに全てをお話ししよ
うと思ったんです
 
287:天M
ええそうですね
 
みんなもよく考えて欲しい
もう一度、何度だって問いかけて欲しい
君達には液晶の向こうの世界でも、僕らにとっては紛れもない現実で
その向こうで誰かが悩んだり傷ついたりしてるんだ
 
もしかしたらまた、制裁スレが立ったりするかもしれない
だけど復讐に復讐でぶつかる権利があるのは実際本人だけで
その本人も、そもそも痛みを覚悟出来ない復讐なんかすべきじゃない
安価に参加したことがある人達も、自分が復讐される覚悟があったわけじゃな
いよね?
 
288:通りすがりのモブ一号
……うん
 
289:通りすがりのモブ一号
ぐうの音も出ない
もっとちゃんと考えて、やるべきだった
 
290:通りすがりのモブ一号
何が正しいのかなんてまだ分からないけど
俺、考えるよ
考え続けようと思う
 
291:通りすがりのモブ一号
はげどう
 
292:通りすがりのモブ一号
そうだな
 
293:
ありがとうございます、皆さん
 
…では最後に。メタ発言をお許し下さい
 
294:通りすがりのモブ一号
なんだ
 
295:天M
本当の意味で今、液晶の前にいる皆さんに問います
 
特に黒バス嫌われ小説を書いたり、読んだことのある皆さんへ
 
 
 
イジメにイジメで返すのが、本当に正義なのですか?