【家から】
謎の怪奇現象
【出られない】
8
 
 
 
 
 
 
 
696:本当にあった怖い名無し
そういや黄タソは言ってたよな
ネットで情報調べると軒並み404エラーになるって
つまり何らかの妨害働いてたってことだよな?
 
697:本当にあった怖い名無し
ネットにまで干渉してくるとか最近の悪霊どんだけハイスペックなの
 
698:本当にあった怖い名無し
>>697
IDからしてお前今北産業だろ
ログ読めや、この掲示板にも既にヤバいのキテるぞ…
 
699:本当にあった怖い>>697
ぎゃああああばびばっ
 
700:本当にあった怖い>>696
700げと
まあつまり、どうやって緑は情報に辿り着いたんだよ
緑もそこそこ力はあるらしいけど、黄は無理だったんだろ?
 
701:
>>700
友人の赤から、呪具を借りていたのだよ
とある縁で奴に鋏を貸して以来、相性が良かったらしくて
奴の愛用武器は鋏なのだが
黒が言ったように赤は我々の中でもトップクラスに霊感が強い。
だから奴が力をこめた魔具や呪具も強い
図書館で煮え詰まっていた時、鋏を投げて刺さった棚に資料があったのだよ
 
702:本当にあった怖い名無し
( ゜д゜)ポカーン
 
703:本当にあった怖い名無し
あ、赤さまってもしかしてチートなお方…?
 
704:本当にあった怖い名無し
つかwww
図書館で鋏投げるなしwww
危なっwww
 
705:
突然司書含め人がまったくいなくなって
虫の声一つ聞こえなくなり
自分の足音が一つ増えるような状態になったので
鋏を投げても問題ないと判断したのだが
 
706:本当にあった怖い名無し
 
707:本当にあった怖い名無し
それって…
 
708:本当にあった怖い名無し
地味に緑も危なかったんじゃね…?
 
709:本当にあった怖い名無し
足音増えるとかそれなんてひぐらしgkbr
 
710:
話を戻すぞ
長くなるので簡潔にまとめる
 
元ネタは戦前だったようだ
現在の稲妻町一体は、とある大富豪の一家がまとめて所有していた土地だった
らしいのだよ
紡績業で大きくなった一族で、当時の当主も人格者で有名だったのだが
ある時を境に崩壊してゆく
当主とその婦人が、ある悪質な宗教に嵌まって暴走をし始めたのだ
この宗教についてはよくわからないが、辛うじて“魔女を崇拝するモノ”
だったらしいことだけ記録されている
 
711:本当にあった怖い名無し
魔女信仰か…
古代でも現代でもいろいろあったよな
 
712:本当にあった怖い名無し
つーか魔女と聴いた時点でいやなフラグしか立たない件
 
713:
婦人は妄想にとりつかれ、自分は魔女の弟子で魔法が使えると信じ込むように
なった
婦人は息子を溺愛するあまり、息子に永遠の命を与えて自分の側にいさせよう
と考えた
そして儀式と称して、息子を屋敷の一室に閉じ込め、
時計を渡して言ったらしい
 
「この懐中時計が再び零時を指すまでここで待っていなさい。
そうしたら私達は永遠に一緒にいられる」
 
しかし、息子に渡した時計は壊れていた
息子はいつまでも待ち続け、部屋で一人餓死してしまったのだそうだ
 
婦人は発狂し、一族と召使い達を皆殺しにした
 
そのあまりに残虐な事件を畏れた者達は、婦人と一族を供養し、塚を立てて祀
ったのだそうだ
 
まあ、深く考えると随分疑問の残る内容なのだがな
そもそも怪談の元ネタなんてまともに伝わることなど殆どないのだよ
ただ、一族が怪死する事件があったことだけは間違いないらしい
 
714:本当にあった怖い名無し
奥様こぁい…
 
715:本当にあった怖い名無し
なんで息子餓死するまで誰も気付かなかったんだよ
 
716:本当にあった怖い名無し
>>715
ばか、ツッコむな
緑も疑問が残るって言ってんだろ
 
717:本当にあった怖い名無し
騎士Kタソの状況といろいろ符号してんのが怖いけどな…
 
閉じ込めるとか時計とか
 
718:
事件後、しばらくは何も異変が起きなかった
ところが、空襲で塚が焼けてから、稲妻町の付近ではおかしな事が起こるよう
になったらしい
早い話、神隠しが増えたのだよ
消えるのは十歳〜十五歳くらいの少年ばかり
 
戦後、男子人口が極端に減っていた時期だ、
神隠しなんてたまったもんじゃなかっただろう
これは婦人が自分の息子を探しているに違いないと、町を復興させるがてら、
偉い坊さんに、最初に塚があった土地に婦人の魂を祀って封じて貰ったのだそ
うだ
その方法がどんなものかは分からんのだが間違ないのは
 
その土地ってのか騎士K宅の住所にピッタリ合致してるってことなのだよ
 
720:本当にあった怖い名無し
や っ ぱ り か
 
721:本当にあった怖い名無し
おい業者…まさか知ってたのに黙って土地と家売ったんじゃないだろうな
 
722:本当にあった怖い名無し
>>721
そりゃそうだろうよ
んな曰く付きな場所に誰が好き好んで住むかっての…
 
723:
リフォームで影響が出たってことは、家そのものに組み込む形で封じられてた
可能性が高いッスよね
 
724:
>>723
黄にしては冴えてるな、俺もそう思うのだよ
そしてこれだけ長く現世に止まって事件を繰り返してる“神隠し”だ。
力も相当なものだろう
本来なら真正面からの対決など分が悪すぎる
一番てっとり早いのは家ごと火にくべてしまう事だ
火で浄化できないものはないし、婦人は家に閉じこめた息子に執着していたわ
けだから家からは出られない
これで除霊はできる、が
 
725:本当にあった怖い名無し
い、いくらなんでもそれはちょっと…
 
726:本当にあった怖い名無し
騎士Kタソの家を燃やしちゃうのはさすがに…
 
727:本当にあった怖い名無し
ってかふつうに無茶だろ
都内の○○区内だぞ?辺境の森の中のお屋敷とかとわけが違うぞ?
下手すら余計な被害が出るし、大騒ぎは確実だろ
 
728:
いくらなんでも現実的じゃないッスよ
他に方法は無いんスか?
 
729:
無いわけじゃありません
少し面倒でリスクがありますが
 
緑君、感謝します
これで全ての材料は揃いました
あとは対決するだけです
 
730:本当にあった怖い名無し
黒タソ…!
 
731:本当にあった怖い名無し
かっこいいマジ黒かっこいいぞ
 
732:本当にあった怖い名無し
どうやって闘うんだ黒
俺らに出来ることはあるか?
 
733:
皆さんありがとうございます
お気持ちだけ受け取っておきますね
 
やる事は至ってシンプルです
まず力業で神隠しの動きを止めて、その隙に言霊で浄化します…
まあ説得みたいなもんですけどね
 
734:本当にあった怖い名無し
説得ってんな…
いや、黒が言うんだ、俺は信じるぞ
 
735:本当にあった怖い名無し
俺も
 
736:本当にあった怖い名無し
俺も信じるぞ!
 
737:本当にあった怖い名無し
でも動きを止めるのも大変だろ
どうするんだ?
 
734:
意志の力ッスか?
 
735:
>>734
はい。その為の天M君です
それに彼は化身使いですから、かなり期待出来るかと
 
さて、決戦の前に…緑君
 
736:
何なのだよ?
 
737:
ここに直接書くのはまずそうなので、メールで下さい
死んだ婦人と息子の名前は何ですか?
 
スレも残り少なくなってきました。
落ちる前に、終わらせますよ
 
 
 
 ***
 
 
 
 心一つで世界は変わらないと、そう言う人がいる。
 しかし同時に、世界を変えるのもまた人の心だという人がいる。
 多分どちらも真理なのだろう。大切なのは−−どんなに僅かな可能性でも、
信じることが出来るかどうかだと天馬は思う。
 
「こっちの準備も終わりました」
 
 ドアを開けて、黒子が入ってきた。ここは剣城の部屋である。火神はドアの
前で待機していた。訊けば“これが最良のポジションだから”なのだそうだ。
 火神自身に自覚はないが、どうやら彼もまた化身のようなものを宿す存在で
あるらしい。名前に“神”の字が入っているのも大きく、彼がその場に立って
いるだけで充分に防壁になるのだという。
 火神をドアの前に立たせておくのは。万が一にも“神隠し”が部屋から逃げ
出さないようにする為なのだそうだ。
「待ちくたびれましたよ黒子さん。…この部屋に一人きりはちょっと…怖すぎ
です」
「すみません天馬君。でも何も起こらなかったでしょう?寒くて時計の音が煩
いだけで」
 それはまあそうなのだが。本能的な恐怖は理屈では図れないものである。
 というか黒子の様子。まるで既に全て理解していますといった口振りなのだ
が−−もう相手の正体が彼には分かっているのだろうか。それに“何も起こら
ない”なんて何故そう言い切れるのか。
 
「ざっくりでいいのでログを読んでみて下さい。緑こと緑間君が全部調査して
くれましたから」
 
 黒子は何故か手に持っていた万年筆をポケットにしまいながら言った。
 
「神隠しの正体は、かつてこの地を総ていた一族の奥方。彼女が神隠しになっ
たのは愛する息子を探し続けているからです。だから剣城君を息子だと思って
閉じ込めている間は、新たな事件も起こさないしこちらの世界に戻ってくるこ
ともありません」
 
 そうだったのか。
 天馬は携帯をまじまじと見つめて思う。零時になったら迎えに来る−−母親
は息子にそう約束した。だから時計が大きな意味を持つアイテムになったのだ。
 スレを見ていた天馬は新たな書き込みに気づき、肝を冷やす。
 
 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 
740:pgadmw0t
P―fc.
.jgm
0geKPK
 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 
 
 もうすぐ
 あなたは
 わたしのもの
 
 
−−ふざけるな。
 
 天馬は唇を噛み締める。
 
−−お前に剣城をやるもんか。
 
 不幸な境遇に同情はしよう。だがそこまでだ。自分の大事な仲間を奪うとい
うなら、黙ってみているわけにはいかない。
 誰かの人生を、自分の都合だけで縛る権利なんて。誰にもありはしないのだ
から。
 
「俺は、どうすればいいんですか」
 
 黒子に言われた通り、剣城の部屋から必要なものは探し出してある。
 
「教えて下さい。どうすれば剣城を助けられるんですか」
 
 それは使い込まれた一つのサッカーボールだった。押入れで見つけたものよ
り、こちらの方が適切だと言われた。生真面目な剣城のこと、手入れは相当し
ただろう。それでも黄ばんでしまっているのは、相当年季が入っているからに
違いない。裏返してみた先に、会社のロゴマークが入っていたが、既に合併し
て名前の変わった企業だった。合併前、少なく見積もっても五年以上前から使
っているということである。
 年代モノであればあるほど良いと言われたが、一体どういう意味なのだろ
う?
 
「意志の力をぶつければいいんです」
 
 黒子は天馬の持つサッカーボールに手を置いて、言った。
 
「大丈夫。きっと“なんとかなります”よ」
 
 
 
NEXT
 

 

知らない事を、知る事を。