運命から、
 逃げたりはしなかった。
 
 
 
 
【キセキファン】
彼らが魔女に浚われた
・第一夜・12
【力を貸して】
 
 
 
 
 
 
722:
わかっている
あと二部屋に何かがある可能性は高いのだよ
まずは儀式部屋の左隣から行く
 
723:名無しさん、みぃ〜つけた
おk
 
724:名無しさん、みぃ〜つけた
な、なんかもう…ドキドキしてきちゃったわ
 
725:名無しさん、みぃ〜つけた
>>424
ばか、俺らが緊張してどうすんだ
今現在命の危険に晒されてる奴らがいるんだぞ
俺らが落ち着いてなくてどうすんだ
 
726:名無しさん、みぃ〜つけた
>>726
そう…だよな
すまぬ
 
727:名無しさん、みぃ〜つけた
あと残る二部屋に、行方不明の紫原、伊月、黄瀬が生きて拘束されてるだけっ
てのが理想だけど
やっぱりあと二部屋で三人とも見つかるのかなぁって思っちまう
 
728:名無しさん、みぃ〜つけた
言っちゃなんだけど…死体で見つかるよりは見つからない方がいい気がするよ
 
729:名無しさん、みぃ〜つけた
まあ…見つからなければまだ希望は残るもんなあ
 
730:E監督
一つ気になったんだけど
緑が持ってた本、今どこにある?
 
731:
玄関ホールにありますよ
目立つようにソファーの前のテーブルにおいてます
二ノ宮蘭子著・幻想の裏側第一巻です
 
732:名無しさん、みぃ〜つけた
中身どうなってるって言ってたっけ
 
733:
>>732
本文はほぼ消失
赤い文字で以下の文だけ書かれてました
 
【犯人は人間に化けた魔女である。】
【この洋館のいる人数は十一人以下である。】
【魔女は人間のトリックと力で犯行を行う。
装飾された幻想の裏側に真実はある。】
 
734:名無しさん、みぃ〜つけた
これ…魔女の出してきてるヒント…だよな
 
735:名無しさん、みぃ〜つけた
三つ目がちょっと意味わからんが…早い話、この屋敷には十一人しかいなくて、
しかも十一人の中に魔女が化けた偽物が混じってるって言ってんだよ…な
 
736:名無しさん、みぃ〜つけた
なんかすげぇ…イヤだ
仲間疑えってことだろ…
 
737:名無しさん、みぃ〜つけた
嘘っぱちだと信じたい
 
738:
>>737
残念だが真実だろう
二ノ宮蘭子の本を知ってる103が言っていた
二ノ宮は自分の小説内の事件のヒントを赤文字で書くって。それで読者に推理
させるって
ならばこの本の赤文字も同じ意味合いである筈だ
でないとゲームとして成り立たない
 
739:E監督
俺も赤司と同意見だ
十一人以外に犯人がいるなんて希望は持たない方がいい
 
740:名無しさん、みぃ〜つけた
うう…嫌すぎる…
 
741:名無しさん、みぃ〜つけた
ほんと最悪だよ二ノ宮蘭子…
 
742:
 
743:名無しさん、みぃ〜つけた
くっそ待ってるだけなのが辛い…!
 
744:名無しさん、みぃ〜つけた
緑報告マダー?
 
745:名無しさん、みぃ〜つけた
待ちくたび…って緑?
 
746:名無しさん、みぃ〜つけた
どうした?紫原達が見つかったのか?
 
747:名無しさん、みぃ〜つけた
おい?
 
748:E監督
緑間、何かあったのか?
誰か見つかったのか?
 
749:
きせが
 
750:名無しさん、みぃ〜つけた
え?
 
751:名無しさん、みぃ〜つけた
黄か?
 
752:
おい、どうした?
青峰とJK監督が慌てて階段降りてきたぞ!?
 
753:
緑間君が倒れそうなので携帯奪いました
代わりに報告します
残り二部屋にも黄瀬君達はいなかったんですが
 
二階の左廊下突き当たりの窓が開いていたんで、気になって見てみたんです
 
そしたら窓の下に
 
 
黄瀬君が
 
 
754:名無しさん、みぃ〜つけた
うそ
 
755:
今玄関から出て全員で窓の下へ向かう
 
756:名無しさん、みぃ〜つけた
そんな
 
757:名無しさん、みぃ〜つけた
い、生きてるよな!?キセリョ生きてるよな!?
 
758:名無しさん、みぃ〜つけた
倒れてるだけだって言ってくれ…!
 
759:名無しさん、みぃ〜つけた
神様…!
 
 
 
 ***
 
 
 
 緑間は窓際に座り込んだまま、動けなくなっていた。
 何故こんなことに。どうして、どうして。
 
 窓が開いていると、気づいたのは黒子だ。二階の残り二部屋にも紫原、伊月、
黄瀬の姿は無かった。あとはどこを探せばいいのかと、やや途方に暮れていた
矢先である。
 窓に近付き、窓の下を見た黒子が小さく悲鳴を上げたのだ。
 
「どうした黒子?」
 
 青峰が彼の後ろに駆け寄り、尋ねる。そのすぐ後にリコも続いた。黒子は真
っ青な顔で振り返ると、黙って窓の外を指差す。彼と同じく窓の外を見下ろし
た二人は暫く固まって−−やがて弾かれたように階段に向けて駆けだした。
 緑間の背を。冷たい汗が伝う。
 今日のおは朝占いを思い出したのだ。蟹座の運勢は十位−−下から三番目。
ラッキーアイテムはデスクチェアという相変わらずの無茶ぶりっぷり。それで
も緑間はデスクチェアをチャリアカーに乗せ、例のごとくジャンケンで負けた
高尾に運ばせたのだが−−。
 そのデスクチェアは運ぶ途中でぶつけてしまい、足を壊してしまっていた。
その時から嫌な予感はしていたのだ。緑間がラッキーアイテムを壊したり手に
入らなかったりした日には、悪いことが頻発するのがザラだった。自分でも何
故かわからないが、とにかく大事な書類が風で飛びそうになったり、商店街で
ホースを使ってるおじさんに誤って水をかけられたり、バッシュの紐が切れて
転んだり。緑間がおは朝に執心する最大の理由がそれである。
 
−−俺がラッキーアイテムを壊したせい…なのか?
 
 そもそも今回。自分がみんなを巻き込んでしまったようなものだ。
 自分が魔女の罠にかからなければ。二ノ宮の本など手にとらなければ、こん
なことにはならなかったのに。
 ああ、よそう。ラッキーアイテムのせいだけにしてはならない。
 
−−俺が、人事を尽くしていれば。
 
 真っ青な顔の黒子の横をすり抜けて、緑間は窓枠に手をかけた。そして、窓
の真下を−−見た。
 
−−ああ。
 
 報告、しなければ。携帯を開いて、打った。打った筈だが果たしてちゃんと
した文章になったかどうか。緑間の頭は完全に真っ白になっていた。普段の自
分ならこんな無様な真似をと思うのに。今は、ただ。
 
−−すまない、黄瀬。
 
 窓の真下で。黄瀬が、倒れていた。
 いつからそこにいたのか。見つからない筈だ。二階でも一階でもなく、窓の
外にいたのでは。
 窓の下に仰向けに倒れた黄瀬の姿は、まるで人形のようだった。二階の窓か
ら落ちたのか、一階の窓から投げ出されたのかはわからないが。少なくとも転
落死した死体にありがちな、手足がおかしな方向に曲がっている、なんてこと
は無かった。
 でも。死んでいるのは明白だ。ポッカリ開いた黄瀬の眼はもう、何も映して
いない。
 何より。その胸の中心には、金色で肉厚のナイフが深々と突き立っており。
紅蓮の色で胸元を染め上げていたのだから。
「俺の、せいで」
「緑間君?」
 ずるずると座り込んだ緑間に、不安そうに黒子が声をかけてくる。無意識に
声に出してしまっていたらしい。実に情けない。ああ、今日は情けないことば
かりだ。
 
「…すまない、黒子。先に行ってくれ」
 
 なんで。
 ああ、なんで黄瀬が死ななければならなかったのか。原因を作ったのは自分
だ。みんなはただ巻き込まれただけなのに。
 なんで黄瀬なのだ。なんで自分ではないのだ。
 
「緑間君…」
 
 黒子は泣きそうな顔で緑間を見、唇を噛み締めた。
 
「わかりました。…すぐ来て下さいね」
 
 彼は階段の方へ駆けていこうとして−−一度だけ足を止めた。そして振り返
らないまま言う。
 
「緑間君のせいじゃ、ないですから」
 
 足音が再び遠ざかってゆく。緑間はそれを聞きながら、ふぅ、と一つ息を吐
いた。キリキリと胸が痛い。悲しみや怒りより、今は空虚さが勝っていた。泣
いていい筈だ。叫んでもいい筈だ。しかし、それなりに出来の良い筈の頭脳が
今は一向に働いてきれない。
 ああ。まだ自分は。これが現実だなんて思えないだけなのだ。なんて未熟な
んだろう。頭脳より、身体より。感情が何よりも出来損ないでいけない。
 
−−頼む、教えてくれ黄瀬。誰がお前を殺したんだ。
 
 ノイズのかかった景色の向こうで、黄瀬が笑う。とてもキラキラした、太陽
のような笑顔で−−笑う。
 それを壊したのは、魔女。
 
−−教えてくれなきゃ…誰を恨めばいいのかもわからないだろう?
 
 緑間の声に。答える者は、いなかった。
 
 
 
 ***
 
 
 
763:
黄瀬の遺体が発見された
 
764:名無しさん、みぃ〜つけた
 
765:名無しさん、みぃ〜つけた
 
766:名無しさん、みぃ〜つけた
 
767:名無しさん、みぃ〜つけた
 
768:名無しさん、みぃ〜つけた
 
769:名無しさん、みぃ〜つけた
おい…冗談よしてくれよ…
 
770:名無しさん、みぃ〜つけた
嘘だよな赤様!?こんなの嘘だよな!?
 
771:名無しさん、みぃ〜つけた
今ほど釣りであって欲しいと思ったことはない
 
772:名無しさん、みぃ〜つけた
そん
そんなキセリョ…!
 
773:
釣りじゃない
嘘じゃない
くそなんで、なんでだ
 
774:名無しさん、みぃ〜つけた
赤様…!
 
775:E監督
冷たいことを言うようだが…赤、詳しい状況を教えてくれ
こうなった以上、次の犠牲者が出る前に犯人を見つけ出す努力をするしかない
んだ
黄瀬の死を無駄にしてやるな
 
776:名無しさん、みぃ〜つけた
監督…
 
777:名無しさん、みぃ〜つけた
ラッキーセブン!…って喜べねぇ…
E監督正論だよ、正論だけどさあ…
 
778:
わかりました、説明します
黄瀬は一階廊下左奥の窓の外に倒れてました
恐らく転落死ではなく刺殺です
胸に大きめなナイフが突き刺さってるので
 
779:名無しさん、みぃ〜つけた
刺殺…
 
780:名無しさん、みぃ〜つけた
酷い…酷いよ…
 
781:名無しさん、みぃ〜つけた
今全員そこにいるのか?
あ…紫原と月はいないだろうけど
 
782:
全員…じゃないな
緑間はまだ二階にいる。あ、窓から顔出した
 
783:
黒子に携帯を返して貰ったのだよ
すまない、遺体を直視できないんだ
情けない
 
すまないすまない黄瀬俺のせいで
 
784:名無しさん、みぃ〜つけた
緑間…
 
785:名無しさん、みぃ〜つけた
やめろよやめろよそういうの…お前のせいじゃないだろ
 
786:名無しさん、みぃ〜つけた
もう、なんて言っていいか…
 
787:
現在時刻は九時二十三分
…二階で遺体発見は九時二十分ってところか
今二階左奥の窓下外、黄瀬の遺体のそばに…紫原と月先輩と緑間以外全員いる
 
いま、遺体を運び出す
 
 
 
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ご一緒に、ドウゾ。