無いものを妬むことほど、
 滑稽な事などないのだから。
 
 
 
 
【キセキファン】
彼らが魔女に浚われた
・第一夜・16
【力を貸して】
 
 
 
 
 
 
130:
結論から先に言う
犠牲者が増えた
 
131:ねぇあたし、トイレの名無しさん
あ、赤様よく無事で…!え?
 
132:ねぇあたし、トイレの名無しさん
え?
 
133:ねぇあたし、トイレの名無しさん
赤様おかえんなさ…え?
 
134:ねぇあたし、トイレの名無しさん
なにが
え、誰…が?
 
135:
死んだのは
 
 
 
 
 
 
 
鷹だ
 
136:ねぇあたし、トイレの名無しさん
 
137:ねぇあたし、トイレの名無しさん
 
138:ねぇあたし、トイレの名無しさん
 
139:ねぇあたし、トイレの名無しさん
 
140:ねぇあたし、トイレの名無しさん
 
141:ねぇあたし、トイレの名無しさん
 
142:ねぇあたし、トイレの名無しさん
うそだ
 
142:ねぇあたし、トイレの名無しさん
やめろよいくら赤様でも冗談やめろ
だってあいつさっきまで書き込みして
 
143:
僕だって信じたくないふざけるなこの状況で誰がこんな冗談言うもんか死ねよ
信じたくないけと死んでるんだよこのバカは
いくら僕が揺すったって起きないんだよふざけんなよ
 
おきろよ
 
144:ねぇあたし、トイレの名無しさん
あかさま
 
145:ねぇあたし、トイレの名無しさん
ごめん…不謹慎なこと言ってほんとごめん…
 
146:ねぇあたし、トイレの名無しさん
ごめんなさい
 
147:ねぇあたし、トイレの名無しさん
あの赤司がこんな取り乱すなんて
 
148:E監督
どんなに気丈に振る舞っててもまだこいつらだって高校生なんだ
目の前で仲間に死なれて冷静でいられる方がおかしい
 
でも赤、それでも言う
落ち着け、何があったか順繰りに説明しろ
溜まってるもんは吐き出していいが忘れるなよ
俺達みんな、お前の味方だ、助けたいからここにいるんだ
死ねなんて簡単に言っていいもんじゃない
 
149:ねぇあたし、トイレの名無しさん
E監督…
 
150:ねぇあたし、トイレの名無しさん
ちょっと別の意味で涙出てきた
 
151:ねぇあたし、トイレの名無しさん
なんでですか
なんでそんなカッコいいんですか監督
 
152:ねぇあたし、トイレの名無しさん
E監督だって確かまだ24だろ
そんなしっかりしてる24歳そうそういねぇぞ
 
153:ねぇあたし、トイレの名無しさん
俺E監督より八つも年上だけど、監督みたいに話せる自信ないよ
 
154:
 
155:ねぇあたし、トイレの名無しさん
赤様、泣いてる?
 
156:ねぇあたし、トイレの名無しさん
泣いていいよ、今は
赤司だって高一なのに頑張ってるよ
 
157:E監督
落ち着くまで、ちょっと話でもしようか
 
前に二ノ宮蘭子−−いや、もうそろそろあいつの本当の名前言ってもいいか
災禍の魔女、アルルネシア。奴と戦ったことがあるって言っただろう
 
もう十年も前だ
当時十四歳だった俺はアルルネシアと戦ったことがある
 
その戦いの中で、俺は
幼なじみの親友を目の前で殺された
 
158:ねぇあたし、トイレの名無しさん
 
159:ねぇあたし、トイレの名無しさん
 
160:ねぇあたし、トイレの名無しさん
 
161:E監督
釣りだと思いたかったらそれでもいい
無理に信じてくれとは言わない
 
それは試合の中の出来事だった
アルルネシアはあいつが敵選手の集中砲火を受けるように仕向けて、取引を持
ちかけてきた
あいつを助けたければ、秘伝技の書かれたノートを差し出せって
 
その秘伝技はサッカーの技ではあるんだけど…まあなんとなく予想はつくと思
う、手を加えれば戦争にも流用できてしまうくらい強力な技だったんだ
だから俺も、当時の俺も…あいつ自身も、簡単にイエスとは言えなくて
 
結果、最悪の結末を招いた
 
162:ねぇあたし、トイレの名無しさん
死んじまった…のか
親友が
 
163:E監督
魔女は死人を生き返らせて操る力を持っていた
あいつの遺体は魔女に浚われた
俺は、ただショックで動けなくなっていた
 
自分がサッカーをやってなければ
自分があいつに関わらなければ
自分がさっさとノートを渡していれば
そもそも自分さえ、いなければ
 
絶望して絶望して絶望して
サッカーをやめようと思うどころか、死のうとまで思ったよ
魔女との戦いはまだ終わってなかったのにな
 
164:ねぇあたし、トイレの名無しさん
そ、想像以上に話が重い…
 
165:ねぇあたし、トイレの名無しさん
つ、釣りじゃなくてマジなのかほんと
 
166:ねぇあたし、トイレの名無しさん
>>165
まだ釣りだとか言う奴は今すぐ帰れよ
本気で赤様達を助けたい奴だけいろ
 
167:ねぇあたし、トイレの名無しさん
いやでも釣りだと思いたい気持ちはわかるよ…
 
168:E監督
そんな時
俺を支えてくれたのは一緒に戦うみんなだった
創部当初から支えてくれたマネージャーや、まだこの間まで一年生だった後輩
達、戦いの中で新しく加わったメンバー
みんなみんな俺を信じて手を差し伸べて、教えてくれた
 
諦めなくていいんだって
まだ終わってないんだって
これからも一緒に戦ってくれるって
 
みんながいたから今の俺がある
あいつを助けにいくって、逢って助けてそれから土下座でもすりゃいいんだっ
て思えた
あの時絶望に負けてたら、本当に誰一人救えないまま終わってたよ
 
169:
監督…その話、ちらっとだけ聞いたことがあります
もしかして2010年の…吉良事変ですか
(注/当作品では、イナズマイレブン無印を2010年、イナズマイレブンGO
2020年と設定しています)
 
170:ねぇあたし、トイレの名無しさん
あ、俺もそういや聞いたことがあるわ
宇宙人がサッカーで攻めてきたって大騒ぎになった件
当時俺まだ小学生だったけど覚えてる
 
171:ねぇあたし、トイレの名無しさん
そういやあの事件の真相って、随分うやむやになってたような…
え、まさかあれの黒幕が二ノ宮蘭子か!?
 
172:ねぇあたし、トイレの名無しさん
ね、年齢どうなんだよ二ノ宮ってまだ若い女なんだろ!?事件あったの十年前だ
 
173:天M
十年前と同じ姿のままだとしたら
人間であるはずがないですよね
 
147:E監督
>>171173
まあそういうことだ
 
赤司達のことを聞いて、昔の自分を思い出した
あの時、一人で全部背負おうとして失敗して、ただ目の前の悲しいものしか見
えてなかった自分をな。
 
いいか
人が一番強くなれるのは、絶望してドン底落ちて、それでも這い上がった後な
んだ
本当の強さは勝ち続けることじゃない
負けて尚立ち上がる強さだ、一生負けない奴なんかありえないんだからな
一回立ち上がった奴は知ってる
絶望の乗り越え方も、絶望の中にいても差し出される手があることも
一人じゃないってこともな
だからまた同じ絶望が襲ってきても、負けないでいられるんだ
 
だから赤司
絶望に負けるな
諦めるな、死んでから諦めろ、生きてるうちはまだ試合は終わっちゃいない
どんなに勝率が低くても、諦めずにいる限り可能性は絶対ゼロにはならないん
これは俺達と魔女のゲーム
お前達が諦めない限り、絶対負けないゲームでもある
 
148:騎士K
E監督…
 
149:ねぇあたし、トイレの名無しさん
ごめん泣いた
 
150:ねぇあたし、トイレの名無しさん
>>149
おまおれ
 
151:ねぇあたし、トイレの名無しさん
そっか…うん、そうだよな
負けることは、恥ずかしいことじゃないんだよな
 
152:ねぇあたし、トイレの名無しさん
赤司
お前は勝つのは当たり前みたいに考えてるっぽいけど
つかキセキ自体そんなイメージがあるけど
 
お前もほんとは分かってるよな?
大事なのは勝つことじゃないって
 
153:ねぇあたし、トイレの名無しさん
>>152
俺もそう思う
世界制覇のGKが言うんだから間違いないだろ
今のE監督見ろよ
 
154:E監督
一人じゃ起こせない奇跡も、みんなと一緒なら起こせる
お前は一人じゃない、だから一人で背負いすぎるな
 
一緒に終わらせよう
全ての悲しいことを、悪い夢を
 
俺達も出来ることは全部するから
 
155:ねぇあたし、トイレの名無しさん
そうだよ
赤司は一人じゃないよ
 
156:ねぇあたし、トイレの名無しさん
画面ごしの俺らだけど
赤様と一緒に推理するくらいはできる
 
157:ねぇあたし、トイレの名無しさん
あたし頭よくないけど
応援だけはずっとしてるよ
 
それだけだけど
ほんとそれだけだけど意味はあるって信じてる
 
158:
うん
 
 
 
ありがと
 
159:ねぇあたし、トイレの名無しさん
赤様あああ!
 
160:ねぇあたし、トイレの名無しさん
よかった帰ってきた!
 
161:ねぇあたし、トイレの名無しさん
どんなに辛くても俺らは赤に生きてて欲しいよ
 
162:
一緒に考えましょう赤さん
魔女を必ず捕まえるんです
 
163:
ああ
 
E監督さん、感謝します
認めましょう、僕は奢っていました
勝つのが当たり前で
守れて当たり前だと思っていた
 
守れなかったこと、今までだって本当はたくさんあったのに、忘れたフリして
ました
 
164:
緑間の携帯預かった
あいつがまだ無事と信じて、持っておく
必ず届ける、それが鷹も望んでる筈だ
 
黒子や黄瀬達を殺した奴、絶対ゆるさねぇからな
赤司だけに背負わせやしねぇ
絶対、絶対、魔女になんか負けてたまるかよ
 
165:ねぇあたし、トイレの名無しさん
火!初カキコおめ!
 
166:ねぇあたし、トイレの名無しさん
よし、みんな立ち直ってきたな!
 
167:ねぇあたし、トイレの名無しさん
改めて、何があったか教えてくれるか
 
168:
ああ
つっても俺らに分かってることもそう多くはねぇんだけどな
十時過ぎくらいだ、残った俺ら全員玄関ホールに集まってた
赤司、青峰、鷹、JK監督、日主将、俺
この六人だ
 
169:ねぇあたし、トイレの名無しさん
行方不明なのは緑間と紫原か
 
170:ねぇあたし、トイレの名無しさん
で、この段階で死亡確認されたのが黄瀬、黒子、月先輩だな
 
171:
月先輩が密室で死んでたのが気になって、もう一度部屋を調べにいこうとした
んだ
そしたら突然屋敷中の電気が消えた
ヒューズが飛んだかブレーカーを落とされたかわからなかったが
結論から言えば後者だ
 
172:
突然真っ暗になってみんな大パニックだ
玄関ホールに窓はないからほんと何にも見えやしない
その時赤が落とした携帯を拾って、照らして
みんな気付いた
真ん中で、誰かが倒れてるの
 
173:ねぇあたし、トイレの名無しさん
それってまさか
 
174:
鷹の死因は黄瀬達と同じ
ナイフが胸に突き刺さって死んでた
 
メンバーの多くが、返り血を浴びてたよ
 
 
 
NEXT
 

 

苦しくないように。