手にするためにこの手はある。 立ち上がるためにこの足はある。
【キセキファン】 彼らが魔女に浚われた ・最終夜・20 【力を貸して】
・ ・ ・
474:名無しのミステリー作家 あれ
475:名無しのミステリー作家 え…なんで え?
476:名無しのミステリー作家 くろさま?
477:黒 皆さん 本当にありがとうございます それから桜君も
君が力を貸してくれなかったらここまで来れませんでした
478:名無しのミステリー作家
479:名無しのミステリー作家
480:名無しのミステリー作家
481:名無しのミステリー作家
482:名無しのミステリー作家
483:名無しのミステリー作家 わあああああああ! 黒さまあああああっ!
484:名無しのミステリー作家 第二の魔王様あああああっ!
485:名無しのミステリー作家 きたあああああああっ!
486:E監督 黒子!? え、今ゲーム盤は停止している筈だぞ どこからどうやって書き込んでるんだ!?
487:黒 僕も魔術師ですから ゲーム盤の外側へ干渉する力がないわけじゃないんです そして駒の黒子テツヤが死亡していようと、上位世界に干渉できる魔術師とし ての僕には関係がない。そうでしょう?
ただ今まではずっと出来ませんでした 僕もまた容疑者という名の駒の一つだったからです
アルルネシアに乗っ取られている可能性の一人である以上、その疑いが完全に 晴れない限り僕が外部へ干渉することは許されていませんでした 自分が犯人ではないこと、自分が一番よくわかっていたのですけどね
488:名無しのミステリー作家 た、確かに今まで赤様も俺らもずっと黒子犯人説疑ってたしな…
489:名無しのミステリー作家 犯人かどうかわからない人間に発言権はなかったわけか でもなんで?
490:名無しのミステリー作家 そうだよな 黒様が魔術師なら赤き真実が使えたはずじゃんか
あれ?
491:黒 魔術師なのは僕だけではないです 黄瀬君も魔女の力は持っていました
しかし、今書き込めるようになったのは僕だけです 魔女や魔術師は自らの身の潔白証明に赤を使うことができませんから 自分の力では自分が犯人でないと語れないんです
しかし桜君が言ってくれました 【僕が全ての事件において殺人を犯していない】ということを、赤き真実で。 その結果僕は容疑者からはずれ、いまここに書き込めるようになったんです
492:名無しのミステリー作家 あ…!
493:名無しのミステリー作家 すごいじゃん! 桜まじファインプレー
494:黒 この際だから僕からも宣言します
【黄瀬君は全ての事件において殺人を犯してないし、自殺もしていません。 第一夜、第二夜、第三夜すべてです】
495:黄 ありがとう黒子っち! おかげで俺も来れたッスよ!
496:名無しのミステリー作家 やったああああ黄いいいっ!
497:名無しのミステリー作家 キセリョおおおっ抱いてぇぇっ!
498:名無しのミステリー作家 むしろ抱かせろおおおっ!
499:E監督 >>497−498 阻止
…後で鋏の雨が降らないことを祈るよ
500:黒 >>497−498 もげて下さい
あ、あとでばっちりIPを赤司君に報告させて戴きますね
501:名無しのミステリー作家 こええ…((( ゜д゜ )))ガクガクブルブル
502:名無しのミステリー作家 明日の予報は曇のちハサミか…
503:名無しのミステリー作家 >>502 誰がうまいこと言えと!
つか黒様もげろって何ガデスカ…
504:名無しのミステリー作家 >>503 ……察しろ
505:名無しのミステリー作家 >>504
506:名無しのミステリー作家 >>504
507:名無しのミステリー作家 >>504
508:E監督 さて本題に戻るぞ 桜やみんなのお陰でアルルネシアを倒す青き真実は完成した あとは奴にぶつけるだけだったんだけど、黒子と黄瀬か、お前らが手伝ってく れるなら心強い
そっち側から結界を突き崩せるか?
509:黄瀬 そのつもりだったッスよE監督 今のタイミングなら全力が出せる
俺と黒子っちの化身で風穴開けます E監督と天Mっちたちはそっちから突き破って下さいッス
赤司っちのこと、頼みます
510:名無しのミステリー作家 え…化身?え?
511:名無しのミステリー作家 黄瀬も黒子もサッカープレーヤーじゃないよ…な?え!?化身って!?
512:桜 そういえばサッカープレーヤーに化身使いが集中するのは条件を満たしやすい やらであって 実は化身使いになるのにサッカー選手である必要はないと聞いたことがありま すが…まさか
513:黒 制約により、通常のバスケの試合で化身を使うことはできないんですけど 今ならできる そういうことです
…そうだ桜君 君に一つだけ言わせて下さい
514:桜 ? なんですか
515:黒 僕にもいろいろありました バスケを嫌いになったこともありました でも今、その全て後悔していません それらがあって今の僕があると知っているからです
何よりバスケは僕にたくさんの出会いをくれた それは一番の宝物です 僕はみんなに逢えて良かった もちろん、君とも
516:黄 そうッスよ桜っち インターハイのリベンジは忘れてないッスからね
終わったらみんなでまたバスケしよう!
517:名無しのミステリー作家 いいなあいいなあ 俺も黒たちとバスケしたい
…外に出られたら
518:名無しのミステリー作家 >>517 まずはドアを開けようそれからだ
519:名無しのミステリー作家 桜、お前の周りみんないいやつばっかだぞ まあお前もわかってると思うけどな 裏切っちゃだめだぞ
520:名無しのミステリー作家 大事なら 思ってること伝えて向き合うのも必要ってことだよな
521:E監督 俺もバスケやってみたいなあ 誘ってくれよ、うっかり必殺技とか出さないように気をつけるから!
522:名無しのミステリー作家 必殺技はアカンwww
523:桜 はい …スミマセン、ありがとうございます 本当にありがとう
皆さんが帰ってくるの、信じて待ってます
524:名無しのミステリー作家 俺らも待ってるぞ! E監督、赤様を助けてくれ!
525:名無しのミステリー作家 信じてる! 絶対E監督やみんなならできるよ!
526:E監督 みんなありがとう
じゃあ黒子、黄瀬、始めるぞ 赤司を迎えに行こうじゃないか
527:黒 はい
528:黄 今助けるッスからね、赤司っち!
***
地獄でしかない。いっそ普通に縛り付けて拷問にかけられた方がマシだった のではとすら思う。 赤司には何も出来ない。何も出来ない赤司の目の前で、青峰は何度も何度も 殺されてゆく。彼のトラウマを最も抉るのは、絞殺。今でさえ恐らく傷は癒え ていまい。中学時代でも、青峰はごくまれにスイッチが入り、おかしくなった。 縄が見える。縄が、縄が。鏡に映る自分の顔を見て譫言のように呟き、首に 縄の痕が見えると喚き(現実にはもう彼の首に痕など残ってはいないのに)血 が出るほど首を掻き毟る。それはどんな怪談より恐ろしい有り様だった。それ を見てまた桃井が泣くのだ。自分には何も出来なかった、これからも出来ない かもしれない、と。 そのくせ青峰本人はおかしくなった時の記憶が飛ぶのである。もはや乖離障 害と呼べるレベルだ。本人は自らがそこまで深刻な傷を追っていることに気付 きさえしていない。縄を見なければ、思い出しもしない。 サッカーゴールやバスケットゴールのような“網”はいい。しかし縄は−− 駄目だった。大好きな体育の時間も縄跳びがある時だけは彼は教師達の手で遠 ざけられたくらいである。 縄で首を締められることは青峰にとって、どんな拷問よりも苦痛と恐怖を伴 うことであるに違いない。なのに、アルルネシアは。
「あ…ぁ…っ!」
目を見開き、涙を流し、首に爪を立てる青峰。その青峰の姿を恍惚とした表 情で見つめながら首を締めるアルルネシア。青峰の腕が宙を掻く。まるで見え ない誰かに助けを求めるかのように。 しかしその手が、届くことはない。青峰の手はぱたりと床に落ち、深い海に も似た群青の瞳から光が消える。青峰の呼吸が完全に止まったのを見計らって、 アルルネシアは首を締める手を緩めた。
「さて…これで五回目ねぇ。あと何回保つかしら?」
アルルネシアの手が帯電する。弱い雷属性魔法を拳に纏わせているのだ。そ の拳が、鼓動を止めた青峰の心臓に向けて振り下ろされる。
どんっ。
「−−ッ!」
びくんっ、と青峰の身体が跳ね上がった。青峰の瞳に光が戻る。無理矢理叩 き起こされた心臓が再び活動を始め、青峰は激しく咳き込んでうずくまった。 安らかな眠りさえままならない。身体を折って苦しむ青峰の前で、再びアル ルネシアが縄を掲げた。 「お帰り。さぁ、六回目いきましょうか?もう一度苦しんで苦しんで死なせて あげるからねぇ?きゃははははっ!」 「や…やめ…ろ…」 生き返ったとはいえぐったりとした青峰に抵抗する術はない。そう。青峰は もう五回アルルネシアに殺され生き返させられている。トラウマを抉り心を金 槌で殴られながら、じわじわ呼吸と心臓を止められていく。もはや恐怖と呼ぶ こてさえおこがましい。 壊れる寸前の青峰が虚ろな眼から涙を流す。さっきの伊月と同じだった。絶 望。それしかない。 どうして青峰がこんな目に遭わなければならないのだ。赤司は膝をつく。地 獄に等しい光景がまたしてもぐるんとひっくり返り、赤司の身体を放り投げた。
−−もういやだ…!
次の場所は、二階の廊下だった。アルルネシアがいる。黒子がいる。その黒 子を守るように立ちふさがる火神がいる。
「駄目です火神君!逃げて下さい、その魔女と戦ってはいけませんっ!」
黒子は叫ぶ。しかし火神は引かない。 仲間を殺され、第一夜で最後まで生き残る羽目となった彼の怒りは、もはや 限界に達していた。殺気を漲らせ、同時に相棒を守らんと少年は雄々しく立つ。
「黒子には指一本触れさせねぇ。もう誰も死なせねぇ!」
火神がアルルネシアに殴りかかった。相手は背が高いとはいえ女。パワー勝 負の特異な火神は、自らが負けるなど微塵も思っていなかったのだろう。 しかし。赤司は知っている。彼女と力で勝負するなど愚の骨頂でしかないと いうことを。
「威勢だけは買うわ。でもそれだけじゃぜーんぜん駄目なのよね」
なんとアルルネシアはそのまま火神をカウンターで投げ飛ばしていた。大柄 な身体が廊下を転がる。黒子が小さく悲鳴をあげる。驚いた様子がないあたり、 黒子の方は知っていたのかもしれない。 魔法の力を持たない以上、火神が彼女に勝つ術はないということを。
「遊びましょう?たくさんたーっくさん…ね?」
月明かりに照らされた魔女は実に麗しく、同じほどに醜悪だった。 まだ惨劇は、終わらない。
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