叫べ。 そこに聲はある。 【キセキファン】彼らが魔女に浚われた・最終夜・25【力を貸して】 赤司が思い出したのは、黒子のミスディレクションだ。あれは本来は手品師 の“視線誘導技術”の応用である。手品を魔法に変える為に、肝となる場所か ら目を逸らさせ、観測者をあっと言わせるのだ。実はアルルネシアがやってく れたのも、同じような心理誘導なのである。高尾殺しの檻。ヒントは山ほどあったのに誰もが“十一人誰もに犯行不可能” と思いこまされたのは−−まさにアルルネシアに誘導された結果と言えるの だ。日向と緑間と伊月。三人の証言がまさしく真実であるかのように、都合の良 い赤ばかり並べて信憑性を持たせた。さらに彼等の証言が真実だと思わせたこ とで【犯人は高尾を看取っていない】という赤から、三人を容疑者から外させようとしたのだ。 だが円堂は推理した。《緑間達三人は八時以前に二階で高尾を刺して瀕死にした後、息絶えるまで鎧に詰めておいた。そして皆が探索で出払ったタイミングを見計らって死亡した彼を鎧から引きずり出し、何食わぬ顔で皆を玄関ホールに呼び寄せ口をそろえて嘘の証言をした。》緑間と日向と伊月は証言した。“探索中の八時四十分に、刺されて瀕死の高 尾が階段を降りてきて、手の施しようなく死亡した。” そしてアルルネシアは赤で宣言している。 【高尾は二階廊下で刺されて一階玄関ホールで死んだ。】 【高尾の遺体が玄関ホールから移動したのは赤司達に発見され書斎に運ばれた時のみ。】 【八時〜八時四十五分(赤司達が玄関ホールに戻ってきた時間)の間、緑間と伊月と日向は一階玄関ホールから離れていない。】 【一階にいる人間はいかなる手段をもってしても二階にいる高尾を刺すことはできない。全ての事件においてトラップ殺人は認められない。】 【高尾は対面した犯人に真正面から刺し殺された。】 【犯人は高尾の死を見届けていない】−−まったくとんでもない魔女だ。何が恐ろしいかって、日向達の証言が真実でも円堂の推理が真実でも、これ らの赤全てを潜り抜けることができてしまうということである。アルルネシアは一度も赤で“日向達の証言が真実である”とは言っていない。 にも関わらず赤司は皆それが真実であると前提して推理を進めてしまった。そ して、結果赤き檻に閉じ込められ串刺しにされる羽目になったのだ。「これが俺の青き真実!さぁ、反論して貰おうか、出来るもんならな!」円堂の放った青き真実の矢は、逃げ場を塞ぐようにアルルネシアを取り囲ん だ。先手を打って既にノックス第八条に抵触しないことは示してある。 今度は自分達が檻を作る番だ。さあ、魔女はどう打って出る?「くっ…やってくれるじゃない!でもまだ終わってないわよ!」さすがにアルルネシアの顔にも焦りが見栄始める。しかし矢が降り注ぐ寸前 に、魔女は青と赤のシールドを展開させて防いでみせた。「忘れてないかしら!?【第一夜、第二夜、第三夜、全ての犯人は共通よ!】そ して、《あなたが提示した三人の手で全ての犯行が可能でなければその推理は認められないわ!当然、ノックス十戒に背いてもアウト!》まだまだ解けてない謎は残ってるわよ!」さすがにそう簡単にはいかせてくれないか。ふう、と赤司は一つため息を吐 いた。だいぶ冷静さを取り戻してきた。大丈夫、まだ精神的なダメージは残っ ているが、なんとかなりそうだ。目元を拭う。まだ瞼の奥が熱い。ヒリヒリする。感情がチリチリとくすぶっ ている。だけど、痛みを感じるのは生きているから。まだ呼吸を止めてないか ら。 諦めるな。 死んでから諦めろ。自分はまだ生きている。戦えている。だから終わらない。終わらずにいられ る。みんなが此処まで自分を信じて、支えてくれる人達がいたから。「円堂さん。ここから先は僕にやらせて頂けませんか」 追撃の為の青を紡ごうとした円堂に、赤司は告げた。「もう“理解しています”。僕の手で、魔女にトドメを刺させて下さい」「赤司…」 円堂はじっとこちらを見つめて、やがて力強く頷いた。「分かった。盛大にブチかましてこい!」パンッと円堂が赤司の背中を叩いた。背丈はそんなに変わらない。だけどと ても大きくて温かい手だと思った。自分はまだまだ子供だ。強がるばかりの子 供だったのだ。それを今更になって知る。 自分はまだまだ、この人には遠い。だけど。だからこそ。「お前なら出来る!自分を、お前を信じてる俺達を、信じろ!」いつかこの人のように。言葉一つでも幸せの魔法に変えられるような、誰か を引っ張り上げられるような−−そんな魔術師に、なりたい。 いや。なるのだ。絶対に。「…ではまず、第一夜から再構築しようか」 覚悟するがいい、魔女。 この赤司征十郎の愛する仲間達を傷つけた罪は限りなく重い。「まずは一番最初の涼太殺しだ。…緑間と日向さんに犯行は不可能だっただろ う。しかし、行方不明者として堂々と動けていた伊月さんなら、いくらでもや りようはあったと思わないか?」 黄瀬が死んだのは、皆が一階探索を行っていた時間だ。【一階探索時において、玄関ホールに待機していた日向とリコは嘘を吐いていない】のは既に赤で保証されている。つまり二階の物音を、日向、リコ、黄瀬が聞いたのは事実で あり、黄瀬が単身二階へ飛び込んでいったのも間違いない。この二人に犯行は 不可能だ。そして先ほどの赤司の推理(緑間、火神、黒子犯人説)では、左廊下探索組 の緑間達は犯行がいくらでも可能だった。しかし、この三人のうち犯人側に属 するのが緑間だけである場合、緑間にも犯行は難しくなってくる。抜け道は黒子が調べていた為使えない。緑間は意図してか意図せずかずっと 火神と口論する羽目になっている。つまりずっと緑間は火神の監視下にあった。 安定のミスディレ黒子はともかく、緑間がこの二人の目を盗んで単身二階に行 くなど限りなく不可能である。だが伊月は。この時まだ遺体が見つかってない状態だ。皆が一階探索をして いた時は二階に隠れていればそれで済む。そして恐らく伊月はわざと物音を立 てて、黄瀬を二階におびき寄せ殺害したのだろう。この時は日向もさりげなく 言葉で誘導したのかもしれない。あの組み合わせで何かが起きたなら、黄瀬が 一人になる確率はけして低いものではなかったから。「《涼太を殺害したあと、伊月さんは窓から涼太を落とした》」 何故そんな周りくどい真似をしたのか。多分理由は二つだ。一つは左廊下探 索トリオを疑わせ(食堂にいればさすがに黄瀬落下の音は聞こえた筈なので) ミスリードを誘う為。そしてもう一つは二階探索時に、二階の隅々まで仲間達 に探させる為だ。隅々まで探した結果、“それなのに何で伊月と紫原は見つからないんだ?” と自分達は大いに混乱させられたわけだから。「《火神とテツヤがシロでも、涼太の落下音に気付かせない方法はある。それは左廊下探索組がキッチンを調べている隙に、涼太を階下に落とすことだ》」 【左廊下探索組はキッチン調査の際ドアを閉めていた。そして物音が聞こえない可能性が高かった。】これはスレッド内で緑間が皆に明かしていることである。よってノックス第八条の提示されない手掛かりでの解決を禁ず、には抵 触しない。ただ。黒子と火神がキッチンを調べているタイミングがわかっていなければ、 黄瀬の落下音に気付かれてしまっていた筈だ。つまり、伊月は黒子&火神と一 緒にいた緑間と連携をとっていたのである。緑間が“今なら大丈夫”という判 断を下したのを見て遺体を落下させたのだろう。「さて、どんどん続けていこうか。次はテツヤ殺害についてだ」「…忘れてないでしょうね?【緑間君は黒子君を殺してないわよ】」 「そう、その赤だよ」 赤司はニヤリと笑う。思えばこの赤が出た時、怪しむべきだったのだ。 チェス盤をひっくり返せば、一発だ。「お前がなんでその赤をわざわざ自分から宣言してきたのか、考えておくべき だったんだ」 ***681:名無しのミステリー作家 い、息つく暇もねぇ怒濤の展開…682:名無しのミステリー作家 日主将とか月先輩とか全然疑ってなかったわ俺…683:名無しのミステリー作家 つか青峰あたりも共犯かと…684:名無しのミステリー作家 でも実際日・緑・月の組み合わせじゃないと鷹殺しが成立しないしな685:名無しのミステリー作家 すっかり忘れてたけど月先輩なら簡単にキセリョ殺せたじゃん…最後まで見つからなかったムッくんのが印象強すぎて686:天M でも黒子さんはいつどうやって殺されたんだろ?緑間さんは殺してないって赤で言われてるし687:名無しのミステリー作家 というかアルルネシアがこの赤を積極的に出してきた理由って…?688:実況班 赤「あの赤字は、一番に疑われるであろう真太郎の疑いを晴らす為。またそれ が叶わないなら、疑惑を真太郎に集中させる為だったんだ」E監督「俺も最初引っかかったよ。緑間は犯行に関与してるはずで、その赤を 潜り抜ける方法ばかり考えてた。まあ実際関与はしてたわけだが」赤「まさしくその通り。…そして赤字で宣言している以上、真太郎はテツヤを 刺してないんだろう。ただし…テツヤが刺されるのを知っていながら見殺しに したならば話は別だ。直接殺してなければ赤には引っかからないのだからね」つまり緑間は黒子が死ぬのを見て見ぬフリしてた?689:名無しのミステリー作家 あんまりだ690:名無しのミステリー作家 アルルネシアまじ殺したい691:名無しのミステリー作家 じゃあ、黒子は誰に殺されたんだ?692:桜 >>691該当する人物は一人しかいませんね行方不明という立場を利用して動き放題だった月先輩でしょう皆が二階から捌けたタイミングを見計らって抜け道から二階に戻ってきた可能 性が高いです693:実況班 まさしく赤様も桜と同じようなこと言ってる緑間と二人きりになった結果黒子は隠れていた月先輩に殺害され用具倉庫に入 れられた月先輩は再び抜け道から一階まで戻って潜伏緑間は全部わかった上で玄関ホールに来てみんなと合流したんだって694:名無しのミステリー作家 緑…本気で黒の死を悲しんでるように見えたのに…695:名無しのミステリー作家 いや悪いのは緑間じゃない緑間を操った魔女だよ696:聖先輩 思えば黒子がいないことを最初に指摘したのも緑間だった気がするなそして取り乱して二階に走っていく流れもちょっと不自然だった黒子の遺体を早く見つけさせる為だったってわけか?697:名無しのミステリー作家 なんかすっごく…悲しい NEXT |
語って、騙って。