とある何処かの世界の二人〜騎士と獅子〜
「また寝坊したのか、セシル」
「みたいだね。…いつもほんとゴメン。これでも目覚ましは増やしたんだけど」
「そのたびにベッドの下に墜落させてたんじゃあ意味が無いな」
「仰る通りで。…ねぇスコール」
「何だいきなり」
「…寝てる時に見る夢ってさ。僕達の潜在意識ってホントなのかな」
「さあ。そういう話は聞くが」
「とても悲しい夢を見たよ。誰かがずっと泣いてるんだ。傷だらけで、血だらけの大地で」
「誰かって?」
「分からない。思い出せない。確かに知ってる人だったのに。ただ」
「ただ?」
「助けてって、小さな声でずっと言ってて。そんな長い夢だった。とても悲しくて、酷い夢」
「何なんだろう…な」
「不思議だよね。楽しい夢はすぐ終わるのに……
悪い夢ほど、いつまで経っても醒めないんだよ」