とある何処かの世界の二人〜夢想と暴君〜
「皇帝ってさ、哲学とか倫理って…そういう系の話は好き?」
「…あまり好きではないな。現実から浮遊している感が否めん」
「の割に表現が抽象的だなーって感じるんスけどね?」
「また意地が悪いな貴様。誰かと論ずるのが嫌いだと言っているのだ」
「あー考えるのは自由ってういうか…別に苦手じゃないわけだ」
「フン、好きに解釈しろ」
「…不安になるんだ。俺達、本当に今生きてるのかなって」
「貴様…」
「分かってるよ。皇帝、嫌いだろ?倫理云々以前に、こういった類の弱音がさ」
「分かってるなら…黙ってろ」
「そうッスね。…ただ、思うんだ。時間は戻らない。死者は生き返らない。それが絶対の真理の筈なのに」
「馬鹿らしい。そんなもの誰が決めたというのだ?現に我々は、
屍の如く老いもせず彷徨い続けているではないか」